中教審が答申素案示す 履修主義・修得主義などで加筆

中教審の「新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会」は11月13日、第18回会合をオンラインで開催し、「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~」の答申素案を示し、さらに審議を重ねた。先月7日に公表された中間とりまとめから、各ワーキンググループの議論や関係団体へのヒアリング内容を踏まえ、総論ではICTを活用した個別最適な学びや、履修主義と修得主義の適切な組み合わせについて加筆された。さらに各論では高校改革や特別支援教育などについて、より具体的な説明が加わった。

答申素案では、総論の3章で、一斉休校下の学びの在り方に触れながら、ICT活用を生かした「個に応じた指導」や「協働的な学び」の充実について追記があった。

具体的には、「児童生徒がICTを日常的に活用することにより、自ら見通しを立てたり、学習の状況を把握し、新たな学習方法を見いだしたり、自ら学び直しや発展的な学習を行いやすくなったりする等の効果が生まれることが期待される。国においては、このような学習者やICT 活用の視点を盛り込んだ『個別最適な学び』に関する指導事例を収集し、周知することが必要である」「『協働的な学び』は、同一学年・学級はもとより、異学年間の学びや他の学校の子供たちとの学び合いなども含むものである。ICT の活用により空間的・時間的制約を緩和することができるようになることから、『協働的な学び』もまた発展させることができるようになる」――など。

また同じく総論の4章では履修主義と修得主義の組み合わせについて、「我が国においては現在、制度上は原級留置が想定されているものの、運用としては基本的に年齢主義が採られている。進級や卒業の要件としての課程主義を徹底し、義務教育段階から原級留置を行うことは、児童生徒への負の影響が大きいことや保護者等の関係者の理解が得られないことから受け入れられにくいと考えられる」と、加えられた。

それを踏まえて、「個別最適な学び」や「協働的な学び」との関係について、▽「個々人の学習の状況や成果を重視する修得主義の考え方を生かし、『指導の個別化』により個々の児童生徒の特性や学習進度等を丁寧に見取り、その状況に応じた指導方法の工夫や教材の提供等を行うことで、全ての児童生徒の資質・能力を確実に育成すること」▽「修得主義の考え方と一定の期間の中で多様な成長を許容する履修主義の考え方を組み合わせ、『学習の個性化』により児童生徒の興味・関心等を生かした探究的な学習等を充実すること」▽「一定の期間をかけて集団に対して教育を行う履修主義の考え方を生かし、『協働的な学び』により児童生徒の個性を生かしながら社会性を育む教育を充実すること」―― が期待されると説明した。

これを巡って兵庫教育大学長の加治佐哲也委員からは「保護者の理解を得られないと言いつつ、『履修主義と修得主義を適切に組み合わせる』と記している」と矛盾点の指摘があり、「現場が今後どうすればいいのか、具体的にイメージできる方法を示すべきだ」と言及があった。

さらに千葉大学教育学部教授の貞広斎子委員や京都府教委教育長の橋本幸三委員からは、89ページにも渡る答申素案の内容について、現場の教員が正しく把握するための配慮を求める声があった。貞広委員は「内容が盛りだくさんな印象。特に教育課程にかかわる部分は学習指導要領と重なる部分と、新たに加えられた部分が混在して、現場の先生に分かりづらいように感じる。概要版の作成や説明するプロセスを丁寧にしてほしい」などと話した。

今回の議論を踏まえ、答申素案は来月4日の第128回初等中等教育分科会で、さらに審議される。

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