【大学入試】英語試験は「読む」偏重 実態巡り議論

文科省の「大学入試のあり方に関する検討会議」は11月16日、第17回会合をオンラインで開催し、前回に引き続き、英語4技能評価などに関する大学への実態調査の結果が報告された。現状では、個別学力検査の英語試験で「読むこと」が中心であり、資格・検定試験の活用も2~3割台にとどまることが示され、委員からは「大学入試で4技能評価をしっかり進めるべき」「必要性に応じて柔軟に検討すべき」など、さまざまな意見が出た。

英語民間試験の利用状況(「大学入学者選抜における英語4技能評価及び記述式問題の実態調査の結果」より)

調査結果によると、一般入試において個別学力検査「英語」では「読むこと」を92.6%の選抜区分で、「書くこと」を45.6%で課している一方で、「聞くこと」を出題しているのは2.4%、「話すこと」は0.2%にとどまった。AO入試・推薦入試でも同じく「読むこと」が9割近くに上る一方、「話すこと」「聞くこと」はごくわずかだった。

また、英語4技能を測定する資格・検定試験の入試への活用について、「活用あり(予定含む)」としたのは、一般入試で21.1%の選抜区分、AO入試で36.8%、推薦入試で24.4%にとどまった。「検討中(予定含む)」は一般入試で34.5%の選抜区分、AO入試で21.0%、推薦入試で28.0%だった。

一般入試で利用可能な英語資格・検定試験は実用英語技能検定(英検)が96.8%と最も多く、GTEC(87.6%)、IELTS(81.3%)、TEAP(80.5%)、TOEFL iBT(76.8%)などが続いた。資格・検定試験の有効期限は、一般入試では「一律2年以内」が3割と最も多く、AO・推薦入試では「特に定めていない」が最も多かった。

一般入試において、センター試験のみで選抜を行う選抜区分は国立大学で1.6%、公立大学で6.2%だったが、私立大学では34.9%に上った。国立大学・公立大学では、センター試験を個別選抜と合算した合否判定が、それぞれ9割以上の選抜区分で実施されていた。

ウェブ会議を進行する川嶋太津夫座長代理

UiPath㈱の益戸正樹特別顧問は産業界の視点から、「日本人の英語力のなさが、国際的なプレゼンスや競争力を損なっているのを肌身で感じている。英語4技能は全ての大学でしっかり評価していただきたい」と主張。資格・検定試験の活用を推進する必要性を訴えた。

一方、日本私立大学協会の小林弘祐常務理事(北里研究所理事長)は「私立大学は多様であり、入試において英語4技能評価を重視する大学がある一方で、大学・学部によっては4技能を均等に必要とせず、アドミッションポリシーに入れていない場合も少なくない」と、英語4技能評価を一律に課すのではなく、各大学の自主性・自律性に委ねるべきとした。

子供の貧困問題に取り組む日本大学の末冨芳教授は「英語民間試験の活用は、試験を受けやすい都市部在住者で、何回も受けられる高所得者ほど得意という基本的な特性がある。これを各大学はいかに自覚し、社会的責任を果たしていくか」と問題提起した。

「試験機会に恵まれない、または地理的な条件が不利である受験生について、大学側のルール整備が必要。受験料の補助策についても国としての支援がなければ、教育の機会均等からますますかけ離れる。英語民間試験の活用が必要になっている学部や専攻はあると思うが、(受験生支援の)政策についても具体的な検討が必要だ」とした。

同調査は今年7月14日から9月14日にかけて、Eメールで調査票を発送・回収。各大学が実施する今年度の大学入学者選抜について、選抜区分ごとに英語4技能の評価や記述式出題の実施状況など入試方法の詳細を尋ね、全国699大学(2222学部、4万6007選抜区分)から回答を得た。

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