HSC(敏感な子供)に理解を 支援団体が講演

生まれつき人一倍敏感な感覚や感受性を持つ子供「HSC(Highly Sensitive Child)」をテーマにしたセッションが、「未来の先生フォーラム2020」初日の11月22日にオンラインで開催された。HSCなど他人とのコミュニケーションで困り感を抱える子供を支援する、一般社団法人信州親子塾のスタッフが登壇し、実際に起こった事例を紹介しながら、繊細な子供との向き合い方や支援の方法について説明した。元教員で、スタッフの齋藤光代氏は「問題と思っていることが、その子の才能」と強調し、子供のありのままを受け入れるよう呼び掛けた。

塾に通うようになって、さまざまなチャレンジをするようになった子供の姿が紹介された

HSCは病気や環境によってつくられるものではなく、生まれつきの特性で、5人に1人の子供が当てはまると言われている。特徴としては▽深く考える▽過剰に刺激を受けやすい▽共感力が高く、感情の反応が強い▽ささいな刺激を察知する▽敏感で気が利き、疲れやすい――などが挙げられる。

例えば、クラスメートが教師から叱られたり、友達からいじめられたりする姿を見るだけで、その当事者でなくても過剰に反応してしまい、学校に行けなくなるケースもある。同塾を訪れる子供の大半にHSCの傾向がみられ、カウンセリングを進めると、「自分の気持ちを分かってくれる人はいない」「自分は不完全だ」という、根深い自己肯定感の低さや強い孤立感が共通してあるという。

そんな子供への向き合い方ついて、齋藤氏は「共感力」と説明。例えば学校に行きたくないと主張する子供に対しては、「その気持ちを認めた上で、どうしてそう思うか質問を繰り返す」ことで、その子の本心が見えてくる。

さらに「アドバイスや励ましたくなる気持ちを抑えて、気持ちを肯定することが大切だ」とアドバイス。同塾のスタッフも子供と向き合うときは中立性を意識し、「ジャッジしない、褒めない、指示をしない」ことを徹底していると明かした。

プログラムの後半では、HSCが周囲に理解されず不登校経験がある20代の塾生が登場し、自分の経験を話した。「担任の先生の間違いを指摘したとき、『お前が違う』と押さえつけられたことをよく覚えている。特別支援学級も場所が提供されただけで、本当の居場所はないと感じていた」と、小中時代のつらかった胸の内を振り返った。
通塾当初を「何か指示してくれると持っていたが、先生たちは何も言わず混乱した」と話し、その環境の中から自分のやりたいことを考え、自分の気持ちと向き合うようになったと説明。

最初のころは「他人と比べられている」と疑心暗鬼になることがあったが、その理由を探るために、自分の気持ちをメモに書き起こしたといい、「モヤモヤを他人のせいにしている自分がいた。周りと比べられる怖さは、過去のトラウマや恐怖心から、そう思い込んでいたと分かった」と気持ちの変化があったと話した。

現在は支援者の道を目指し、特別支援学校などでボランティアに尽力しているという。

齊藤氏は、HSCは小中学生時代に周囲が正しく理解して支援すると、自分の力を発揮できると強調し、「自分の好きなことが分からなかったり、才能に気付けなかったりする子供がいるのは社会的損失にもつながる」と呼び掛けた。

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