ウィズコロナの大学教育 学生も参加し、国大協がシンポ

国立大学協会は11月25日、ウィズコロナの大学教育の在り方をテーマに、オンラインシンポジウムを開いた。大野英男東北大学総長と、喜連川優・国立情報学研究所所長・東京大学教授が講演。国立大学の学生らも参加してのパネルディスカッションも行われた。

今後の大学教育の方向性について講演する大野東北大総長(Zoomで取材)

大野総長は東北大学が実施してきた、新型コロナウイルスへの一連の対応について説明した後、今後の大学教育の課題として、留学生を含めた多様な学生の確保を挙げた。

人口減少を迎えたからといって、特に研究大学で学生定員を減らす必要はないと述べ、「減らさないと学生の質が悪くなるという議論もあるが、私は、入学試験という一つの物差しで測ったときに、不合格とされた人たちの中に、これから大学の学びで大きく成長する人がいるのではないかと感じている。時代の要請に応じ総合的、多面的な選抜を通じて多様な学生を受け入れ、生涯学び続ける社会の担い手を育てるのが、われわれに課せられた役割だ」と強調した。

喜連川教授はコロナ禍での大学のオンライン授業への対応について報告し、「小中学校は対面でやっているのに、大学は遠隔ばかりだという報道もあるが、必ずしも正しい見方ではない。GIGAスクール構想が動き出したが、まだ端末は子供たちに届いているわけではなく、遠隔をしたくてもできない状況にある小中学校に対して、大学は数千もの講義を遠隔でやろうとした」と反論。

オンライン授業の取り組みを各大学で共有し、さまざまな大学教員のオンライン授業を所属に関係なく、どの学生でも自由に聞ける巨大な「講義動画の共有プラットフォーム」構築を提案した。

後半のパネルディスカッションには、国立大学の学生らも参加した。

国立大学の学生も参加したパネルディスカッション(Zoomで取材)

金沢大学3年生の露口啓太さんは、余った時間で興味のある授業を聞いたり、自ら情報発信してさまざまな人とつながったりできるなど、オンラインの利点を強調。「一方的に先生が話す授業はオンデマンドでいい。その方が、先生にとっても学生にとっても負担が小さい。海外ではさまざまな大学の授業を聞いて、単位認定されるようになっている。日本でもそれが進めば、学生の勉強へのニーズを拾えるのではないか」と喜連川教授の提案に賛意を示した。

一方で別の学生からは、対面による大学教育のメリットも挙げられた。東京工業大学3年生の中筋勇人さんは課外活動の重要性を挙げ、「このコロナで一番変化したのは、対面で友達と課外活動ができなくなったことだ。2年生以上であれば、ある程度は自分で本を読んだり、先生に質問したりできるので、オンライン授業に切り替わっても影響は少ないが、課外活動はオンラインでは代替できないと思う」と話した。

また、今年入学した東京工業大学1年生の柳瀬梨紗子さんは、大野総長が講演の中で示した、大学1年生ほど対面授業を希望する割合が高いというデータと自分自身の感覚を重ね、「受験生のころに想像していた大学生活とは、全く違う時間を過ごしてきた。SNSで同じ学部の人とつながることはあるが、そこから輪が広がらない。対面で集まって友達を増やしたり、同じ授業を取っている友達をつくったりするのは大変だ」と訴えた。

次のニュースを読む >

関連
関連記事