少人数学級「定数改善計画の策定が必要」 文科相が意向表明

来年度予算編成で折衝中の少人数学級について、萩生田光一文科相は11月27日、衆院文科委員会で、「実施に当たっては、地方自治体が長期的な見通しを持って教員を採用しやすくなるように、定数改善計画の策定が必要であると考えている」と述べ、実現に向けて教職員定数改善計画の策定を目指す考えをはっきりと表明した。教職員定数改善計画は小泉政権の行財政改革で2006年度予算の編成過程で策定が見送られて以来、文科省がたびたび予算要求をしても財務当局に認められなかった経緯がある。萩生田文科相が16年ぶりとなる定数改善計画の策定を明言したことで、長期的な計画を立てて義務標準法の改正による30人学級の実現を目指す文科省のシナリオが、一層鮮明になった。12月下旬の来年度予算案作成に向け、財務当局との折衝が激しさを増していくとみられる。

衆院文科委員会で質疑に応じる萩生田光一文科相

萩生田文科相は、笠浩史衆院議員(元文科副大臣、立民)から少人数学級を巡る財務当局との折衝状況を問われ、「少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備については、学校現場において高いニーズがあると確信している」とした上で、「特にGIGAスクール構想の下、1人1台端末を活用した、個に応じた指導が可能となり、教育が変わる。これをさらに前に進めていくためには、きめ細かな指導を行うことが教員にも求められる。このことから、学級編制の標準引き下げを含め、しっかりと検討していきたい」と述べ、1人1台端末を使った個別最適な学びを実現するために、教員によるきめ細かな指導が必要になるとの考えを改めて説明した。

続けて、「実施に当たっては、地方自治体が長期的な見通しを持って、教員を採用しやすくなるように、一定期間をかけて段階的、計画的に進める必要があり、定数改善計画の策定が必要であると考えている」と、教職員定数改善計画を策定する必要性を強調した。

教職員定数改善計画は、公立学校の教職員を複数年次にわたって計画的に配置する目的で策定される政府の計画。例えば、学級編制を45人学級から現在の40人学級に移行したときには、1980年から1991年まで足かけ12年間にわたる第5次教職員定数改善計画を策定し、教職員定数は自然増減分5万7932人と純増分2万1448人を合わせて、7万9380人が改善された。公立学校の教職員を採用する自治体にとっては、計画期間中は国が自治体に交付する義務教育費国庫負担金が毎年の予算折衝で増減する先行き不透明感が緩和され、将来の財政負担を見通した教職員の採用が可能となる。

しかしながら、小泉純一郎政権(2001~06年)が行財政改革として取り組んだ、公務員の総人件費改革の一環で、文科省が06年度予算の概算要求に盛り込んだ第8次教職員定数改善計画が、05年12月の事前大臣折衝で策定見送りとなった。

それ以降、文科省は民主党政権下の11年度予算編成で新・教職員定数改善計画を、13年度予算編成で「子どもと正面から向き合うための新たな教職員定数改善計画案」を、それぞれ要求したが、財務当局との折衝が難航し、政権交代の影響もあって、いずれも策定されなかった。その後は、毎年の予算措置で配分する加配定数によって教員定数を弾力的に増減するかたちが続いている。20年度の教職員定数は68万7000人で、このうち学級数などに応じて機械的に算出される基礎定数が63万3000人、弾力的に配分される加配定数が5万4000人となっている。

この日の衆院文科委員会の席上、萩生田文科相は、教職員定数改善計画の策定に言及したのに続き、少人数学級の実現について「関係各所と丁寧な打ち合わせ、交渉をしている。私自身は、その方向で前に進んでいきたいと思う。これは国民を代表する国会の総意だと言っても過言ではないと思っている。自信を持ってしっかり前に進んでいきたい」と語気を強めた。

一方、財務当局の立場を説明した船橋利実財務大臣政務官は「少人数学級、少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備など、新しい時代の学びの環境の整備については、文科大臣が答えたように、関係者間で丁寧に検討していきたい」と答弁。少人数学級を掲げる文科省の予算要求に対し、財務当局が着目しているポイントについて、「『端末を1人1台にして、どのような授業を提供するのか』『教員の採用倍率が低下する中、教員の質をどのように確保するのか』『加配定数を含めた教員全体の配置を、どのように最適化をするのか』『ICTの活用等により、校務をどのように効率化するか』などを総合的に検討し、費用対効果を含め、丁寧に議論をしていく必要があると考えている」と述べた。

次のニュースを読む >

関連
関連記事