「大学退学考えた」4人に1人 あしなが育英会の奨学生

病気や災害、自死などで親を失った子供たちを支援する「あしなが育英会」は11月30日、都内で記者会見を開き、全ての奨学生に対し、一人につき20万円の「年越し緊急支援金」を給付すると発表した。同会が奨学生を対象に行った調査では、大学生の4人に1人が退学を考えたことがあると回答。家庭の経済状況に深刻な打撃を与えていることが分かった。

コロナ禍で大学の退学を考えたことがある奨学生の割合

同会では10月23日~11月5日に、高校や大学に通う奨学生とその保護者、計6241人にウェブでアンケート調査を実施し、52.9%から回答を得た。

その結果、保護者からの回答では、コロナ禍によって収入が減ったと答えたのは36.7%と3人に1人に上った。また、新型コロナウイルスの影響で増えた出費について聞くと、子供のオンライン授業に関する環境整備が40.1%と最も多かった(いずれも複数回答)。

大学生への調査では、「コロナ禍以降に退学を考えたことがあるか」という問いに対しては▽考えたことはない 66.0%▽少し考えたことがある 20.9%▽大いに考えたことがある 4.1%▽考えたことがあり、退学を検討している 0.7%▽退学はしないが休学を検討している 4.5%▽休学した 0.5%――と、退学や休学を考えたことがある学生が3割以上いることが示された。

退学や休学を検討していると回答した学生にその理由を聞くと、「家計が苦しくなり授業料が払えなくなったから」(6.2%)や「モチベーションが続かない/就学の意欲が湧かないから」(11.5%)、「通っている大学が対面授業ではなくなったから」(3.3%)などが挙がった。

また、高校生を対象にした調査で、コロナ禍の学習への影響を複数回答で聞いたところ、「授業がオンラインになって分かりにくくなった」(18.0%)や「周囲の頑張りが見えなくて張り合いがない」(10.5%)、「周囲との差を感じるようになった」(7.5%)などがみられた。家族関係の変化について複数回答で聞いてみると「以前より仲が深まったように感じる」(15.4%)という回答がある一方で、「保護者が疲れているように見える」(33.0%)などの回答もあった。

さらに、大学の授業料減免などが行われる修学支援新制度や給付型奨学金の制度を「よく知らない」と答えたのは65.6%に上るなど、高校生への周知が進んでいない状況も浮き彫りとなった。

これらの結果を踏まえ、同会では、7612人の全奨学生を対象に、1人につき20万円の「年越し緊急支援金」を、12月中旬をめどに給付することを決めた。給付総額は15億2240万円に上る。

コロナ禍での遺児家庭の危機的状況を訴える玉井会長

会見で玉井義臣会長は「コロナ禍で自殺者の数が増えている。自殺と生活苦は隣り合わせだ。私たちは絶対に奨学生やその家族から自殺者を出さないと誓いたい」と力を込めた。

創設から50周年を迎える同会では今年、感染防止の観点から春と秋に行っていた街頭募金活動を中止せざるを得なかった。あしなが学生募金事務局の岡本蓮事務局長は「街頭募金ができないことで、賛同してくれる人の気持ちを受け取れず、遺児家庭の悲痛な思いも伝えられない」と悔しさをにじませた。その上で「遺児家庭はコロナという外的要因に耐えるのは無理だ。遺児家庭を取り巻く厳しい現状を、多くの人に知ってほしい」と訴えた。


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