リンク先の内容変更は発行者が管理 教科書検定制度を改善

教科書検定制度の改善方策を検討していた文科省の教科用図書検定調査審議会は12月2日、本年度2回目の総会で報告を取りまとめ、萩生田光一文科相に手渡した。報告によると、教科書にウェブページアドレスのURLやQRコードなどの二次元コードで、リンク先の参照事項を記載する場合、従来の検定や訂正申請のように文科省が内容の変更点を全て確認するのは現実的ではないとして、教科書発行者が参照事項の変更内容を管理し、文科省が報告を受ける仕組みを構築。参照事項の変更で児童生徒に不適切な内容が記載された場合には、教科書から削除する措置が講じられるようにする。また、検定済み教科書の1年間の訂正件数が2万5000件を上回る現状を踏まえ、訂正内容を教科書発行者のホームページで公開し、学校現場が最新の訂正状況を確認しやすいように環境を整備する。

報告を受け取り、あいさつする萩生田光一文科相

報告ではまず、新型コロナウイルス感染症対策と教科書検定手続きについて、今後の感染予防対策の徹底とICTの発展による行政手続きの簡素化を踏まえ、見直しを方向付けた。これまで発行者と文科省が対面で行っていた申告書の受理について、郵送での提出も可能とし、検定審査料については納入告知書による納付に切り替え、オンライン上のやりとりも可能とする。

次に、社会情勢の変化を適時反映するための手続きとして、ウェブページアドレス、二次元コードが参照させる内容について取り上げた。URLやQRコードが参照させる内容の変更は「最新の情勢を反映させる観点から有用な手法」と評価。しかしながら、「URLやQRコードが参照させる内容については教科書そのものではないため、検定や訂正申請と同様に文科省が確認するのは現実的ではない」として、「あくまで発行者が管理し文科省は報告を受けるようにした上で、児童生徒にとって不適切な情報が掲載された場合には教科書から削除する措置を講じられるようにする」との方向性を明記した。

URLやQRコードなどを使ってリンク先のコンテンツを参照する手法は、今後、デジタル教科書の活用が広がるとともに、さらに普及することが予想され、その際のリンク先のコンテンツ内容や変更について教科書発行者が管理する方向が明確になった。

また、検定済み教科書の1年間の訂正件数が2万5000件を上回り、教科書発行者ごとに通知の方法がばらばらになっている現状を踏まえ、教科書の訂正に係る周知の方法について見直しを提起。「発行者のホームページで訂正内容を公表し、学校現場が最新の訂正状況を確認できるようにする」とした。ホームページ上の掲載に当たっては、学校現場が使いやすいように、必要性の高いものを優先的に確認できるようにする工夫や、共通して留意すべき点を文科省が発行者に示すことが必要だと指摘している。

一方、来年度に使用される中学校の教科書検定を巡り、今年2月21日、「新しい歴史教科書をつくる会」(高池勝彦会長)が、同会が推進する「新しい歴史教科書」(自由社)が検定で不合格になったことを、文科省が検定結果を公表する前に、記者会見を開いて発表したことを受け、「申請図書等の適切な情報管理」や「検定審査不合格に関する手続き」についても見直す方向を示した。

申請図書等の適切な情報管理では、文科省による検定結果の公表前に、発行者が申請図書に関する情報を外部に公表し、検定作業に当たって「静謐(せいひつ)な環境の確保が困難となる事案」があったとして、「検定審査の結果公表前に申請図書等の内容を当該申請者以外の者の知るところとすること」や「検定審査の結果公表前における当該申請図書等の情報の管理が不適切であることにより、検定審査に重大な影響を及ぼしたと認められる場合」には、申請図書を検定審査で不合格とする規定を追加するよう求めた。

検定審査不合格に関する手続きでは、不合格となる申請の範囲を明確化する必要があるとして、検定規則の改正を求めた。具体的には「申請者が検定審査不合格となった後に不公正な行為をし、年度内または翌年度に再申請を行った場合、再申請された図書について不合格決定を行う」「申請者が検定審査中に不公正な行為をした場合に当該検定において不合格となる」ことを検定規則の改正で明確にする。

さらに、不合格となった申請図書について、再申請回数の上限設定も提起。編集や校閲といった部分が不十分で「教科書として求められる水準に遠く及ばない図書が申請され」ているとの現状を踏まえ、検定に不合格となった教科書が再申請できる回数には2回の上限を設定し、2回目の申請は翌年度とすることを打ち出した。

報告を受けた萩生田文科相は「教科書は児童生徒の教育に極めて重要な役割を果たす、主たる教材。報告を踏まえ、今後、教科書検定制度や検定基準などについて、必要な制度改正を速やかに行いたい」とあいさつした。

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