感染者が出ても原則、臨時休業せず 文科省、方針見直し

文科省が12月3日に改訂した「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」では、学校で感染者が発生した場合の臨時休業の考え方について、従来の「感染者が発生したらまず臨時休業する」という対応を見直し、「要否を保健所と相談したうえで、真に必要な場合に限って臨時休業を行う」という方針に変更した。

8月17日から11月25日に感染者発生の報告があった学校における臨時休業の状況(文科省集計)

学校現場の実態では、感染者が発生しても臨時休業を行わない判断をするケースも多くなっており、そうした場合でも学校内で感染が広がらなかった事例が8割近くを占めていることや、感染が拡大しやすい場面が分かってきたこと、10代以下の罹患(りかん)率が他の年代と比べて低いことなどの分析を踏まえ、原則として臨時休業を行わない方針とした。

文科省初等中等教育局健康教育・食育課の平山直子課長は「子供だけが家の中に閉じこもっていても、地域の感染拡大の抑制にはほとんど効果がない。それに引き換え、(臨時休業で)子供が受けるデメリットは非常に大きい」と指摘し、学びの保障を重視する考えを明確にした。

また「実際の臨時休業の判断権限は設置者である自治体にあり、その判断を妨げるものではないが、今までの知見からすると、こういう(原則、臨時休業を行わないという)運用でも十分、大丈夫ではないか」とも述べた。

マニュアルではまた、学校で感染者が発生した場合について▽学校は設置者に連絡し、感染者の学校内での活動状況について伝える▽設置者は保健所に臨時休業の実施の必要性について相談し、学校及び設置者は保健所による濃厚接触者の範囲の特定に協カする▽感染した児童生徒や濃厚接触者を出席停止とする▽設置者が、保健所の調査や学校医の助言などを踏まえて判断する――という手順を示した。

児童生徒・教職員の感染が判明した場合のフロー

ただ、家庭内感染ではない感染者が複数発生している、感染者が不特定多数との間で、マスクを着用せず近距離で接触したなど、学校内で感染が広がっている可能性が高い場合は、学級や学年単位、学校全体を臨時休業とすることが考えられるとした。また学校活動を継続する場合でも、感染リスクの高い活動の見直しやマスクを着用しない活動の制限など、警戒を強める工夫についても示した。

さらに地域で感染が広がった場合の情報共有のため、自治体に対し、日本学校保健会が提供する「学校等欠席者・感染症情報システム」への加入を求めた。学校で子供の欠席状況を毎日入力することで、地域の感染症の発生状況をリアルタイムに把握し、関係機関が情報を共有できるため、早期の感染症対策に役立てることができるとしている。

9月に公表された衛生管理マニュアルの第4版では、「児童生徒等や教職員の感染が確認された場合、設置者は、保健所による濃厚接触者の範囲の特定や検査に必要な日数・範囲で臨時休業を実施する」「現在は、感染者が発生した後、1~3日の臨時休業を実施してから、学校を再開する例が一般的」といった指針を示していた。

ただ実際には、8月17日から11月25日までに感染者が発生した学校1996校のうち、55%に当たる1106校で、臨時休業を行わない判断をしていた。平山課長は「多くの感染者が発生している地域は経験に即して、マニュアル(改訂)より先に、より現場に即した判断をしたのではないか。マニュアルが全てではなく、現場で最善の方法を取ることが一番望ましい」と話した。

萩生田光一文科相は、国内の感染者が増加しつつあった11月27日の閣議後会見で、「現時点において、春先のような全国一斉休業を要請することは考えていない」「地域一斉の臨時休業は、学びの保障や子供たちの心身への影響の観点からも、まさに必要な場合に限定し、慎重に判断すべきだと思っている」と説明していた。

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