寒くても「窓開け10~20cm」 衛生管理マニュアル改訂

空気が乾燥する冬季に向けて新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される中、文科省は12月3日、学校での感染症対策の指針となる衛生管理マニュアルを改訂し、学校現場に対して「寒い環境においても、可能な限り常時換気に努める」ことを強く求めた。常時換気のために窓を開ける幅は「10cmから20cm程度が目安」と具体的な数字を明記している。室温低下に備えて、児童生徒に暖かい服装を心掛けるよう指導するほか、空き教室を利用した二段階換気などを推奨した。また、高校での生徒や教職員の昼食で感染が広がったケースが生じていることを踏まえ、席の配置や食事後の歓談時のマスク着用を促した。

衛生管理マニュアル改訂版について説明する平山直子・文科省初等中等教育局健康教育・食育課長

衛生管理マニュアルは、学校現場が踏まえておかなければならない新型コロナウイルス感染症の衛生管理について、考え方や具体的な対応策を一冊にまとめたもので、「学校の新しい生活様式」との副題が付けられている。長期休校から学校再開の時期を探っていた今年5月22日に初版が通知され、今回は冬季への対応を踏まえた第5版の改訂版となる。12月3日付で都道府県教委などに通知された。

冬季への対応でポイントになるのは、換気の徹底。マニュアルでは従来、「気候上可能な限り常時、困難な場合はこまめに(30分に1回以上、数分間程度、 窓を全開する)、2方向の窓を同時に開けて行う」と明記している。

これに加えて、改訂版では、常時換気の方法として▽廊下側と窓側を対角に開けることにより、効率的に換気することができる▽窓を開ける幅は10cmから20cm程度が目安。上の小窓や廊下側の欄間を全開にするなどの工夫も考えられる▽廊下の窓も開けることが必要——と記述した。

続いて、冬季における換気の留意点として、「冷気が入りこむため窓を開けづらい時期だが、空気が乾燥し、飛沫(ひまつ)が飛びやすくなることや、 季節性インフルエンザが流行する時期でもある」として、「徹底して換気に取り組むことが必要」と強調。 「気候上可能な限り、常時換気に努める」ことを求めた。難しい場合には「30分に1回以上、少なくとも休み時間ごとに、窓を全開にする」と明記した。

その上、室温低下による健康被害を防止するため「児童生徒らに暖かい服装を心掛けるよう指導し、学校内での保温・防寒目的の衣服の着用について柔軟に対応する」ように求めた。また、空き教室を使った「二段階換気」を、室温低下を避けながら換気を行う工夫として取り上げ、「(暖房した)空き教室などの人のいない部屋の窓を開け、廊下を経由して、少し暖まった状態の新鮮な空気を人のいる部屋に取り入れること(二段階換気)も、 気温変化を抑えるのに有効」と説明した。

十分な換気ができているか心配な場合には、換気の指標として、CO2モニターにより二酸化炭素濃度を計測する方法があることを紹介。二酸化炭素濃度については、学校環境衛生基準が1500ppmを基準としているのに対し、 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会では、マスクを伴わない飲食を前提としている飲食店などの場合には1000ppm以下が望ましいとしていることに触れ、「昼食時には換気を強化するなど、児童生徒の活動の態様に応じた換気」をするよう促した。

この改訂版を作成した狙いについて、平山直子・文科省初中局健康教育・食育課長は「冬場は空気が乾燥するので、ウイルスが飛びやすくなると言われている。このため換気は非常に重要になっているが、一方で、寒いという状況の中で、どうやって換気していくのかが大きな課題になる」と指摘。換気の基本的な対応策となる窓開けについて「10cmから20cm程度というふうに具体的な数字の目安を入れた。窓を全開する必要はなく、対角線上で10cmから20cm開ければいい、と具体的に示している」と説明した。

その上で、寒い環境で窓開けによる換気を求めることから、平山課長は「意図して『室温低下による健康被害の防止』を入れた」と解説。「授業を受けるときに上着を着るのは、通常ではないけれども、今年は温度が低下することもあると思う。上着を着たまま授業を受ける場面も出てくるだろう」と話した。

二段階換気については「誰もいない部屋は全部暖房を切るのではなくて、誰もいない部屋でも暖房を付けて、その暖まった空気が部屋の中に入るという方法」と説明。北海道が作成したリーフレットを参考資料として添付したことに触れ、「二段階換気を含め、換気の仕方について北海道が非常に詳細な資料を作っている。全国の学校も参考にしてほしい」と述べた。

このほか、改訂版では、マウスシールドについて、「フェースシールドやマウスシールドは、マスクに比べて効果が弱いことに留意する必要がある」と追記。「フェースシールドはしていたがマスクをしていなかった状況での感染が疑われる事例があった」と指摘した上で、「マスクなしでフェースシールドやマウスシールドのみで学校内で過ごす場合には、身体的距離をとる」ことを求めた。「教育活動の中で、顔の表情を見せたり、発音のためのロの動きを見せたりすることが必要な場合には、フェースシールドやマウスシールドを活用することも一つの方策」としながらも、「この場合には身体的距離をとりながら行う」とした。

高校などで弁当を持参した場合や、教職員の昼食についても、注意を喚起した。「生徒同士の昼食や、教職員が同室で昼食をとった場合での感染が疑われる事例も生じている」ことから、「飛沫を飛ばさないような席の配置や、距離がとれなければ会話を控えるなどの対応を工夫」することや、「食事後の歓談時には必ずマスクを着用」することを新たに加えた。

幼稚園における幼児のマスクについては、厚労省の見解を踏まえて、無理に着用させる必要がないとの考えを示した。具体的には「身体的距離が十分とれないときはマスクを着用するべき」ことを基本としながらも、「本人の調子が悪い場合や、持続的なマスクの着用が難しい場合は、無理して着用させる必要はない」と明記した。

次のニュースを読む >

関連
関連記事