ESD軸にカリマネの見直しを 分科会などで事例報告

12月6日に開かれた第12回ユネスコスクール全国大会・ESD研究大会(文科省、日本ユネスコ国内委員会主催)では、ESDに関する実践研究やテーマ別分科会が設けられ、発表が行われた。地域と関わり、社会を変える行動を促す実践や、ESDを軸にしたカリキュラム・マネジメントについて、各校が取り組みを報告した。

ESDによるカリキュラム・マネジメントについて議論した分科会

複数の小学校が4年前に統合した奈良市立都祁小学校では「総合的な学習の時間」をはじめとするカリキュラムの見直しを進め、自然や文化資源などに恵まれた広大な地域の良さを、子供たちが再認識できる実践を展開。例えば、4年生では、水源地に出向いて水質の良さを実感したほか、世界の水問題の学習や、地元の水と茶葉を使った緑茶カフェを開く活動を行ってきた。

4年生担任の稲葉敦教諭は「社会科見学に行った後に、壁新聞や発表で学習内容を終わらせるのではなく、社会へのアクションにつなげる。学びを学校の中で完結させないことを大事にしてきた。役に立つということが、子供の学びが社会につながるということだ」と、同校の実践のコンセプトを振り返った。

「ESDを踏まえた学習指導要領の趣旨の実現」をテーマにした分科会では、校長によるESDの視点によるカリキュラム・マネジメントの取り組みが報告された。

東京都八王子市立浅川小学校の清水弘美校長は、形骸化していた学校教育目標を刷新し「役に立つ喜びを知る子」に変更したことを紹介。その上で、Feel、Imagine、Do、Shareのサイクルで学びを深めていく「FIDSメソッド」に基づく教育活動を重視したという。

清水校長は「持続可能な社会を創るには一人ではできない。FIDSメソッドで育もうとしている子供の自己実現、人間関係形成、社会参画は特別活動の3つの視点でもある。だからこそ、これらの活動は学校でやらないといけない」と学校の役割を強調した。

国際理解教育に力を入れる千葉県八千代市立大和田南小学校は、各教科でESDに関連する単元などを抜き出し、学年ごとに学習時期を一覧表にした「ESDカレンダー」を作成して、国際理解教育を中心にして各教科の学びを整理。ユネスコスクールのネットワークや地域の企業、人材を活用して、ベトナムをはじめとする世界各国の学校との交流を展開する。また、教育課程特例校として1年生から英語教育に取り組み、家庭科や図画工作を英語で学ぶイマージョン学習にも挑戦している。

同校の田中一成校長は「コロナ禍でこれまでの地域連携が難しい状況になっている。新しい生活様式が求められる中で、教科横断の視点も取り入れながら、教育内容を組み立て直し、教育活動の質の向上を組織的に行わないといけないと考えている」と課題を挙げた。

埼玉県久喜市立栗橋西小学校でも、ESDの視点で教育課程を見直し、学年間で系統的に教科横断型の学びを展開できるようにした。特に生活科や「総合」では、地域課題を大単元として位置付け、PDCAサイクルに基づく学びを展開。同校の白石二三恵校長は「今年6月に行われた埼玉県の学力調査では、平均正答率を上回り、非認知能力も高い結果が示された。今後も楽しみだ」と成果を実感していた。

コーディネーターを務めた日本持続発展教育推進フォーラムの手島利夫理事(前東京都江東区立八名川小学校校長)は、コロナ禍でSDGsの重要性が高まる中、前文などにESDの理念が反映された新学習指導要領の意義を強調。その上で、チェックリストなどを活用して、各学校の教育課程や学校経営計画が新学習指導要領の理念を反映しているか、改めて見直す必要があるとアドバイスした。

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