コロナ禍でESDの重要性増す ユネスコスクール全国大会

2030年の社会に向けて、持続可能な開発のための教育(ESD)を推進する第12回ユネスコスクール全国大会・ESD研究大会(文科省、日本ユネスコ国内委員会主催)が12月6日、オンラインで開催され、関係者によるパネルディスカッションやユネスコスクールの実践報告が行われた。コロナ禍という共通課題に世界が向き合う中で、新学習指導要領の全面実施を迎えた日本の教育が果たすべき役割について、活発な議論が交わされた。

2030年の学校教育のグランドデザインをテーマに行われたパネルディスカッション

開会式では、萩生田光一文科相がビデオメッセージで「国連では、SDGsを定め、日本を含め世界各国でその実現に向けた取り組みが進められている。このような中、SDGs全ての目標の実現に寄与するものとして、持続可能な社会づくりの担い手育成である、ESDの重要性はますます高まっている」とあいさつし、新学習指導要領におけるESDの実践の重要性を強調した。

また、同じくビデオメッセージを寄せた日本ユネスコ国内委員会の濵口道成会長は、日本では他国と比べて新型コロナウイルスの被害が少ないことを例に、「自然災害を多数経験し、自助・共助・公助を教育の中で育み、科学への理解が定着していることも一因と考えられる。このコロナの現状を顧みて、改めてユネスコの重要性が思い起こされる」と指摘し、コロナ禍におけるユネスコスクールの実践に対する期待を述べた。

続くパネルディスカッションでは「2030年の学校教育のグランドデザイン」をテーマに、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて、ESDやユネスコスクールなどが果たすべき役割について関係者が意見交換した。

日本の大学として初めてユネスコスクールとなった奈良教育大学の加藤久雄学長は、これまでの国内外のESDの取り組みを振り返った上で、日本では新学習指導要領にESDの理念が反映されたことを評価。

加藤学長は「新学習指導要領の目標にある『よりよい社会を創る』ということは、持続可能な社会を創るということで、深い学びとは、ESDで大切にしている行動変容を伴うものだ。いわば、ESDと新学習指導要領は双子の兄弟のような関係にある」と述べ、大学におけるESDの研究や人材育成などの重要性を強調した。

日本ユネスコ国内委員会教育小委員会委員長を務める上智大学の杉村美紀教授は、SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」は、他の目標も統合する重要な役割を果たしており、中でもターゲット4.7でESDが位置付けられていることに着目。

「コロナ危機を受けた世界の中で、環境、防災、多文化共生、インクルーシブ社会など、地域の実情を踏まえた課題を自分事として捉え、グローカルな視点で課題解決できる人材の育成が求められている。日本の優れた実践を世界に伝えていくべきだ」と、積極的な情報発信を今後の課題に挙げた。

文科省総合教育政策局の浅田和伸局長は、教育基本法や新学習指導要領の理念とESDとの関連性に触れ、ESDは学校教育にとどまらず、生涯学習として考えなければならないものであると指摘。

「ICT環境の充実が進めば、学校間の交流や成果の発信もやりやすくなる。学校は何のためにあるのか、教師自身が常に問い直すことが求められるようになっている。子供たちに学校にとどまらない、社会や世界を見せてほしい。ESDはその推進力になる。教育をより豊かにするためにも、ESDを生かしてほしい」と学校現場に呼び掛けた。

閉会式では、2030年の社会の在り方や学校教育を見据えた、ユネスコスクール活動への提言案が示された。提言案では、2014年に日本で開催されたユネスコスクール世界大会で制定された「ユネスコスクール岡山宣言」を、新学習指導要領の視点から分析。ESDの実践のさらなる推進を目指す。提言は今回の全国大会の成果を反映させた上で、近く正式に採択される予定。

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