合唱活動に感染対策の徹底求める クラスター発生で文科省通知

埼玉県川越市の中学校で、学校現場として最大級の新型コロナウイルス感染症のクラスターが発生した事態を受け、文科省と文化庁は12月8日、合唱コンクールに向けた練習が感染拡大に関連したとみられることから、学校における合唱活動について感染対策の徹底を求め、都道府県の学校設置者などに通知した。萩生田光一文科相は同日、「学校現場の先生たちは(コロナ禍でも)学校行事をやろうと工夫や努力をしている。それは応援したい。ただ、(クラスターが発生すれば)結果として不幸な話になる。できる限り感染防止に配慮しながら対応してほしい」と述べた。

学校行事と感染対策について説明する萩生田光一文科相

通知は12月8日付。11月以降、学校における合唱活動に関係した集団感染が複数発生していることを重視し、全日本合唱連盟が公表しているガイドラインに加え、4項目の留意事項を挙げた。

4項目は、▽マスクは原則、着用する。このマスクは鼻と口の両方を隙間がないよう覆ったもので、マウスシールドや下部の開放が広いマスクは該当しない▽合唱している児童生徒同士などの間隔は、マスクを着用している場合でも、前後左右ともにできるだけ2m(最低1m)空ける▽飛沫(ひまつ)感染のリスクを避けるため、立っている児童生徒と座っている児童生徒が混在しないようにする▽連続した練習時間はできる限り短くする。常時換気を原則とし、窓などを対角方向に開け、十分換気を行う。飛沫感染に留意し、近距離での大声を徹底的に避ける――とした。

また、フェイスシールドについては、的確な取り扱いを行わないと感染を拡大させてしまう危険があるとして、「合唱活動においての着用は推奨しない」と明記した。

通知を発出するきっかけとなったクラスターは、埼玉県川越市の市立野田中学校で発生した。同市教委によると、12月2日に1年生と3年生の生徒に感染が確認され、全生徒・教職員にPCR検査を実施したところ、7日午前の段階で、1年生22人、2年生1人、3年生11人、教員1人の計35人が感染していることが分かった。5日に予定されていた合唱コンクールに向けた練習中に、マスクを外していたことが感染拡大の一因とみられている。マスクを外した合唱の練習がクラスターの発生につながったとみられる事例は、11月下旬に兵庫県市川町立市川中学校でも起きている。

萩生田文科相は、通知発出に先立つ同日午前の閣議後会見で、文科省が川越市教委から事情説明を受けたとして、「合唱の練習に際して、マスクを外す場面もあったと聞いている」と述べ、学校現場の感染対策をまとめた衛生管理マニュアルの徹底を改めて求めた。

続けて「地域の感染レベルについては、地域の蔓延(まんえん)状況なども踏まえ、学校の設置者が適切に判断してほしい。その上で、各学校において、地域の感染拡大状況に応じ、感染リスクの高い活動については、活動内容の変更、中止などの措置を講じていただきたい」と説明し、地域の感染状況に注意しながら柔軟に対応するよう、学校現場に促した。

一方、コロナ禍の学校行事について、萩生田文科相は「かけがえのない学校行事がコロナ禍で奪われている状況にある。この学校(川越市立野田中学校)でも、一人一人の間を空けて、マスクをしたまま練習をするような対応をしていれば、もしかすると、(クラスターの発生は)避けられたのかもしれない」と指摘した上で、「『リスクがあるから、学校行事は全てやめろ』と文科省が発信すると、間違ったメッセージになる」として、学校行事には可能な限り取り組むことが望ましいとする、これまでの考えを改めて強調。「年度末に向けて、学校現場の先生たちは少しでも子供たちの思い出に残るイベントや行事をやりたいと、さまざまな工夫や努力をしていると思う。そこは応援したい」と話した。

同時に、「結果として、こういうこと(クラスターの発生)になっては、不幸な話になってしまう」とも述べ、「衛生管理マニュアルをよく徹底し、できる限り感染防止に配慮しながら、さまざまな対応をしていただくことが望ましい。一律に『感染リスクがある合唱コンクールは、全国一斉に中止をするべきだ』などと発信するつもりはない。ぜひ気を付けてやってもらいたい」と説明し、学校現場に重ねて注意を喚起した。

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