「スマート専門高校」実現掲げる 追加経済対策を閣議決定

政府は12月8日夕、臨時閣議を開き、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、医療機関への支援やワクチン接種体制の整備など感染対策、デジタル改革やグリーン社会の実現、業態展開を図る中小企業への支援など盛り込んだ追加経済対策を閣議決定した。事業規模は73兆6000億円で、このうち国費や財政投融資を合わせた財政支出は40兆円となる。教育関連では、高校のICT化を進める考えを明記するとともに、工業科や農業科など職業学科のICT環境を整備する「スマート専門高校」の実現、学校施設の耐災害性強化や老朽化対策などを打ち出した。具体的な内容は、来週に閣議決定される今年度第3次補正予算案などに盛り込まれる。

経済財政諮問会議で発言する菅義偉首相(首相官邸のホームページから)

追加経済対策は「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」と名付けられ、全体的な考え方として「家計や企業の不安に対処するべく、万全の『守り』を固めるとともに、新たな時代への『攻め』にも軸足を移すという、2つの大きな視点からなる」と説明されている。

教育関連は、「デジタル改革・グリーン社会の実現」との項目の一つとして教育のICT化が改めて強調されたほか、「防災・減災、国土強靱(きょうじん)化の推進」の項目で、学校施設を含む「防災拠点・避難施設や社会福祉施設などの耐災害性強化」と、学校などの「重要インフラに係る老朽化対策」が取り上げられている。

教育のICT化では、「新型コロナウイルス感染症を契機に、感染拡大のような事態が生じても学びの継続を確保できる教育のICT化・オンライン化へのニーズが増している」として、オンライン教育について「デジタル時代に合致した仕組みとして、その内容の一層の充実を行う」と明記。同時に「義務教育段階で本年度中に1人1台端末環境が整備される中、高校段階を含む各教育段階においてICT化・オンライン化を推進し、誰ひとり取り残されることのないよう、デジタル社会にふさわしい対面指導とオンライン・遠隔教育のハイブリッドによる新しい学び方を実現していく」と、小中学校の1人1台端末整備に続いて、高校などでもICT環境整備を進めていく方向性を描いた。

こうした方向性を実現する施策として、▽オンライン学習システム (CBTシステム) の全国展開▽EdTech・STEAM教育の推進(学びと社会の連携促進事業)▽「スマート専門高校」の実現▽GIGAスクール構想の拡充▽デジタルを活用した大学・高専教育高度化プラン▽幼稚園のICT環境整備▽保育所や児童相談所等における ICT化推進▽オンライン教育の一層の充実–などを挙げた。それぞれの施策の内容は今年度第3次補正予算で具体化される方向で、各省庁と財政当局の調整が続いている。

このうち、「スマート専門高校」の実現は、高校の職業学科を対象にするもので、それぞれの専門性を考慮して「ハイスペックな端末も含めた整備」(文科省初中局産業教育振興室)を目指している。対象となる高校の職業学科は、農業、工業、商業、水産、家庭、看護、情報、福祉の学科に分かれ、2018年5月現在、全国で延べ1987学科あり、生徒数は58万9202人。高校生全体の18.3%を占めている。

防災・減災、国土強靱化の推進は、「激甚化する風水害や巨大地震等への対策、予防保全に向けた老朽化対策の加速、デジタル化等の推進に係る対策を柱とする」とうたわれており、公共事業の総事業規模は「15兆円程度を目指す」と明記された。その一部が学校施設にも適用されることになる。

菅義偉首相は、追加経済対策について、同日昼の政府与党政策懇談会で、財政支出40兆円、事業規模73兆6000億円となることを明らかにした。

続いて、菅首相は、同日夕の経済財政諮問会議で、追加経済対策の内容を「医療機関や高齢者施設などの支援、雇用調整助成金や企業の資金繰り支援などに加え、グリーンやデジタルなど、新たな成長に向けた対策」と説明し、経済効果としてGDP(国内総生産)に換算して3.6%程度を見込んでいることを表明した。

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