行政事業検証、取りまとめ公表 学校ICT化や子供の貧困

政府の行政改革推進会議(議長・菅義偉首相)は12月9日、第41回会合を開き、11月中旬に行われた「秋の年次公開検証(秋のレビュー)」の指摘事項について取りまとめを行った。国の予算執行の無駄や事業の効果を外部有識者が点検するもので、教育関連では「教育現場のオンライン化の推進」や「子供の貧困・シングルペアレンツ問題」「幼稚園の預かり保育の促進」などを取り上げた。菅首相は今回の会合での議論を踏まえ、「こうした提言は予算編成に積極的に反映していただきたい」と述べた。

教育現場のオンライン化の推進

取りまとめではGIGAスクール構想を踏まえ、「デジタル社会にふさわしい授業や教育の在り方を検討し、これを可能にするオンライン授業などに関する各種規制の見直しや、必要となる教職員の能力向上がさらに検討されるべきである」と指摘。

その中で、教員の能力向上について「都道府県ごとに教員に対するICT研修に大きな差が生じており、所期の目的の実現可能性に疑義が生じている」として、取り組みが不足している地域に対し、文科省がしっかり働き掛けを行うことを求めた。

また学習者用デジタル教科書の普及促進についても、「紙からデジタルへ切り替えを進めていく上で、標準化などを進めて、より少ない予算でより教育効果が上がるよう、遅滞なく検討を進めていくべきである」とした。

障害や病気のある児童生徒については「デジタルを使って教育をサポートすることが今まで以上に可能となる」として、アクセシビリティーに関する指標を成果の指標として設定するべきだと指摘した。

11月の「秋のレビュー」の席上では、有識者が「教育現場のICT化による業務・校務の効率化を進め、教職員数の合理化にも努めるべきだ」と指摘していた。

行政改革推進会議の第41回会合後、記者会見する河野太郎行政改革相

ただ河野太郎行政改革相は「技術を導入して、それによって本当にサポートが必要な生徒に先生が寄り添える時間を作っていくところが狙い」と説明し、学校現場のICT化による教員数の合理化や削減に否定的な立場を表明。今回公表された取りまとめにも、教職員数の合理化の方針は盛り込まれなかった。

一方、遠隔オンライン授業を巡る規制緩和論議の焦点となっている、受信側に教師の同席を想定していることについては、会合後の記者会見で「文科省の方で検討していただいているところ。まずはそれを待ちたい」と述べるにとどまった。

河野行革相や平井卓也デジタル改革相はこれまで、受信側に教師の同席を想定する要件を見直し、家庭などでの遠隔オンライン学習を推進する考えを示していた。一方の萩生田光一文科相は、多様な子供たちのきめ細かいケアや、けがや急病などの不測のリスクに対応する安全管理の観点から、「受信側に教師を配置することが必要」との姿勢を崩していない。

子供の貧困・シングルペアレンツ問題

行政改革推進会議は「困難な状態となるきっかけやプロセス、また子供の未来に関わることとしてとらえれば、全ての人に関わる政策課題」として、この問題の重要性を認識。「秋のレビュー」では、ひとり親世帯の生活基盤など親に対する支援と、学力・経済格差の連鎖の解消に向けた子に対する支援について議論した。

現状、自治体の教育部局と福祉部局の連携不足などにより、すぐに必要な支援にアクセスしづらいケースがあるとの指摘を受け、取りまとめでは「まず、支援を必要とする人の立場に立って、これを起点とした支援策の『ワンストップ化』を実現し、素早く有効な支援を届ける必要がある」とした。

さらに、自分が支援対象であることに無自覚な人、潜在的に支援を必要とする人やその予備軍に対して積極的にアプローチするため、支援を必要とする人からの申請を待つのではなく、自治体側から働き掛ける「プッシュ型」の支援を可能とする必要性を指摘した。

こうした「ワンストップ化」や「プッシュ型」の支援の実現に向け、取りまとめでは「デジタル・データの特性を生かしたデータ・ベースに関わる共通インフラを主導して構築することを検討すべき」と指摘。

加えて「個人情報保護条例の改正や運用の見直しなどにより、情報の一元化や連携を可能とし、支援を必要とする人や予備軍の状況を適時・的確に把握することを進めることが重要」とした。さらに、手続き面での課題の整理や、簡略化も必要だとした。

また、子供の貧困問題に熱心に取り組む先進的な自治体がある一方で、取り組みが進んでいない自治体もあることから、「国が必要な権限と資源を確保しつつ、力強いリーダーシップを発揮して、各地方公共団体の具体的な動きにつながる施策を推進することが必要である」と訴えた。

幼稚園の預かり保育の促進

「秋のレビュー」では、有識者が「待機児童が存在する自治体において、幼稚園の預かり保育が日数・時間ともに十分に提供されているか」と指摘。取りまとめでは、日数や時間、長期休暇中における開設状況や保護者にとっての利便性など、きめ細かく実態を把握することを求めた。

また「十分に提供されていない場合は、その理由を分析し、待機児童が存在する市区町村の働く保護者にとって、まずは実施率の低い公立幼稚園、そして私立幼稚園について、十分な質を確保した預かり保育の開設を求めるべき」とした。

さらに、私立幼稚園で通常の預かり保育を「開園日の半分以上の日数、1日2時間以上開設」としていれば基礎単価が受け取れる現状の仕組みについて、「ユーザー目線で必要な開設日や開設時間が確保されているとは言いがたい水準」と指摘。

その上で「平日の開設日数や開設時間数を増やし、長期休暇中の実施も要件に含めることなど、補助金の構造を見直すべきである」としたほか、補助金により保育者の処遇が改善しているかなど、効果も丁寧にモニタリングすべきだと明記した。

次のニュースを読む >

関連
関連記事