東京都が次期教育施策大綱骨子案 「誰一人取り残さない」

東京都は、これからの都の教育の方向性を示す次期「東京都教育施策大綱」の骨子案を、12月10日に開かれた今年度第3回総合教育会議で示した。東京の目指す教育として「誰一人取り残さず、すべての子供が将来への希望を持って、自ら伸び、育つ教育」を掲げ、その実現に向けてICT活用など基軸となる学びの姿を描いた。

都総合教育会議で委員からの意見を聞く小池百合子都知事(手前)

会議には小池百合子都知事、藤田裕司教育長と5人の委員も参加。冒頭であいさつした小池都知事は「世界が新型コロナウイルスに苦しんでいるところだが、その中で東京が世界一の国際都市であり続けるためにも、世界を力強くけん引していく役割を果たしていく。そこには何よりも教育が最も重要になってくる」と述べた。

また「子供たちが社会の変化を柔軟に受け止めて、さまざまなことに粘り強く挑戦する、そして学び続ける力を育むことが、東京の国際競争力の源泉ともなり、一人一人の自己実現、達成感の確保にもつながる。子供の目線に立って、一人一人の意欲を引き出す、そして東京の持つ強みを最大限に引き出して教育内容の充実を図るということで、新しい教育の在り方を確立していきたい」と意欲を見せた。

次期大綱の骨子案では、未来の東京の姿として「グローバル化などによる多文化共生社会の進展」「AI、IoT、ビッグデータなどの先端技術の社会実装が進行」「コロナ禍を経たサステナブル・リカバリー(持続可能な回復)」を想定。

そうした未来の社会の担い手として、「自らの個性や能力を伸ばし、さまざまな困難を乗り越え、人生を切り開いていくことができる」「他者への共感や思いやりを持つとともに、自己を確立し、多様な人々が共に生きる社会の実現に寄与する」という子供の姿を描き出した。

そのための学びの姿として①子供の個性と成長に合わせて意欲を引き出す②子供の成長を社会全体で支え、主体的に学び続ける力を育む③ICTの活用によって、子供たち一人一人の力を最大限に伸ばす――という3つの学びを、東京の目指す「誰一人取り残さず、すべての子供が将来への希望を持って、自ら伸び、育つ教育」の基軸として示した。

これに対し、都教委の秋山千枝子委員(小児科医)は「ITを介すると、相手の状況や立場を十分に理解するという、対面以上に相手を思いやることが必要だということに、身をもって気付かされた。他者への共感と思いやりを持つことは、IT社会を生きていくために子供たちには不可欠だ」と述べた。

また北村友人委員(東京大学大学院教育学研究科准教授)は「一つの解で何かが解決するわけではない時代では、学び方を学ぶことによって自立して主体的に学ぶ力を育むことが重要。ただ同時に、全ての子供がそういう環境にあるわけではなく、経済的な問題、家庭の問題がある中で困っている子、苦しんでいる子がいるのも確か。東京はあなたたちを見捨てないというメッセージを、同時に出していくことが必要だ」と指摘。

「今回の新型コロナウイルスに伴うデジタル化で明らかになったのは、格差の問題。家庭環境によっては、容易にデジタル化に対応できない子たちもいる。同時に、デジタル化によって格差を縮める可能性もある。格差が広がることがないように気を付けながら、デジタル化する利点を生かし、全ての子が自立して、サステナブルな社会を作る担い手を育てていくというメッセージを強調したい」と訴えた

「東京都教育施策大綱」は、都の総合教育会議での議論を経て都知事が策定する教育の根本方針。現行の大綱は今年が最終年度で、都は今月下旬に次期大綱の骨子案を示す。また今月下旬から来年1月にかけて、パブリックコメントを募集するとともに、子供たちの声の聞き取りを実施するとしている。最終的には今年度末をめどに、次期大綱を公表する。

次のニュースを読む >

関連
関連記事