少人数学級の予算攻防が大詰め 17日にも事前閣僚折衝で決着へ

少人数学級の実現に向け、来年度予算編成を巡る文科省と財務当局の攻防が大詰めを迎えている。文科省は児童生徒の自然減があるため、教職員定数を現状の水準で維持すれば、財政負担を増やさなくても今後10年間で30人学級の実現が可能と主張。財務当局は自然減分をそのまま教職員の人件費に充てるわけにはいかないなどと反論しているといい、議論は平行線となっている。来年度予算案の財務省原案は12月21日に閣議決定されるが、それに先立ち、麻生太郎財務相と萩生田光一文科相の事前閣僚折衝が17日にも行われ、攻防の決着が図られる見通しだ。萩生田文科相は15日の閣議後会見で、「何とか実現にこぎつけたい。その努力を今しているところ」と状況を説明した。

少人数学級について議論した自民党文部科学部会

15日午前、自民党本部1階で文部科学部会が開かれ、文教関連議員と藤原誠事務次官ら文科省幹部が顔をそろえ、来年度予算案について議論した。最大の焦点となったのは、少人数学級の実現だ。

赤池誠章・文科部会長(参院議員)は冒頭のあいさつで、「最重要課題である少人数学級は大臣折衝になるので、まだまだどうなるか予断を許さない。財務省は厳しい財政状況の中、少人数学級の効果とそのエビデンス、10年以上の計画をどう担保するかなど、いろいろ懸念を表明している」と予算攻防の現状を説明した。

少人数学級の実現に向けた予算攻防では、萩生田文科相が12月11日午後に首相官邸で菅義偉首相に個別で面会したほか、14日には予算編成を巡る国と地方の協議の席上、全国知事会の飯泉嘉門会長(徳島県知事)が地方6団体を代表して、菅首相に「地方も協力して進めていきたい。総理の英断をお願いします」と改めて強く要望した。さらに16日には菅首相も出席する政府の教育再生実行会議で、少人数学級の実現を求める文書が採択される見通しだ。

だが、財務当局の姿勢は依然厳しい。赤池氏によると、先週、馳浩自民党政調会長代理(元文科相)とともに財務省に行き、「(児童生徒の)自然減分(で生じる教職員の定数)を少人数学級の増員に使わせてほしい」と要望したところ、財務省は「使わせるわけにはいかない」と答えたという。

今年度の公立小中学校などの教職員定数は68万7000人。このうち義務標準法の規定で学級数などに応じて機械的に計算する基礎定数が63万3000人。児童生徒の人数が減れば、それにあわせて教職員の定数も削減される仕組みだ。残る5万4000人は、政策目的に応じて毎年の予算措置で配分する加配定数となっている。実際には、自然減分は加配定数として毎年補充されている部分も多い。

来年度予算案の概算要求では、文科省は、少人数学級の実現に向けた事項要求分を除くと、教職員定数の自然減として995人分と教職員配置の見直しで2000人分を削減する一方、小学校の専科指導の充実で2000人分を加配定数で、通級指導の充実などで397人分を基礎定数で改善するよう要求している。単純に差し引けば、598人分の定数減で予算要求を行っていることになる。自然減分に応じて教職員定数がそのまま減らないように、これまで加配定数で対応していた通級指導などの人員を基礎定数に順次振り替えたり、小学校高学年の教科担任制への準備などを理由に新たな加配定数を加えたりして、予算編成のたびに調整してきたのが実情と言っていい。

赤池氏によると、財務省は30人学級の実現のために自然減分を教員定数に充てるのならば、これまで通り加配定数を使って必要な人員を確保すればいいとの立場。これに対して、文科省は自然減の動きは年によって変化するので、加配定数による対応では、自治体が自分たちの財源として計画的に教職員を採用することができないとして、基礎定数の充実を求めている。加配定数が多くなって自治体が教職員の計画的な採用をしにくくなると、結果的に自治体が非正規雇用の教員を増やすことになるとの指摘もあり、両省の攻防が続いている。

15日の文科部会の終盤に駆けつけた萩生田文科相は、予算攻防の現状について、「旅に行くことは認められたが、『自前で行け』と言われている状況」と説明した、という。

この説明の意味合いについて、赤池氏は「『30人学級(を定める義務標準法)の法改正をやりたいならどうぞ、でも、財源の裏付けは財務省としては保証しません』という意味だ。財務省は、文科省がやりたければ、自分が所管する予算の範囲内でやりくりしろ、と言っている。自然減分を教職員定数に使わせないなら、どうすればいいのか。結論からすると、認められていないということだ」と読み解いてみせた。

閣議後会見で説明する萩生田光一文科相

萩生田文科相は15日の閣議後会見で、「少人数学級のニーズは極めて高いと認識している。予算編成も大詰めの時期。残された時間はそんなにないのだけれど、改めて財務当局に少人数学級の必要性をしっかり訴えて、何とか実現にこぎつけたい。その努力を今しているところ」と言葉を選んだ。

関係者によると、17日にも麻生太郎財務相と萩生田光一文科相の事前閣僚折衝が開かれ、少人数学級を巡る予算攻防を決着させ、21日に来年度予算案の財務省原案が閣議決定される見通し。

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