障害児の意見表明権の重要性 厚労省WTで当事者が訴え

障害児に「子どもの権利」を教えてほしい――。12月14日に都内で開かれた厚労省「子どもの権利擁護に関するワーキングチーム(WT)」の会合で、6~19歳まで障害児施設で暮らし、現在は自立生活を送る井上龍之介さんが、自身の経験を踏まえ、障害児がもっと自由に意見を表明できたり、聞いてもらえたりする機会の重要性を訴えた。

WTのヒアリングに招かれ、障害児の意見表明権の重要性を訴えた井上さん

この日は、さまざまな理由で施設や里親などに保護されている子供から、どのようにして意見を聞く機会を確保しているかについて、自治体や児童養護施設などの関係者からヒアリングが行われた。

その中の一人として意見を述べた脳性まひの井上さんは、ヘルパーによる介助を利用しながら、車椅子で移動する生活を送り始めて6年目を迎える。6歳から障害児入所施設の大阪整肢学院で暮らし、隣接する大阪府立中津支援学校に通った。「施設と病院と学校がスロープでつながっていて、施設のすぐ隣が学校。雨が降っていても傘を持たずに通えた。でも、自由に外に出掛けられなかったのは困った。施設から外に出るには、1カ月前に施設の許可と病院の医師のはんこが必要で、どこに何時に行くかも書類にして提出しないといけなかった。これにはストレスがたまった」と、井上さんは当時の生活を振り返った。

19歳で自立生活を大阪市内で始めてみると、それまで、施設にある業務用炊飯器しか知らなかった井上さんは、個人用の小さな炊飯器が家電量販店で並んでいるのを見て驚いた。スーパーによって同じ商品でも値段が違うことに気付いたり、地図を見ながら移動していても道に迷ったり、そうした経験そのものが、施設の中で長年暮らしていた井上さんにとって、新鮮な学びだったという。

井上さんは「学校でもお金のことや社会のマナーは教えてもらったが、実際にやってみないと分からないことがある。施設にいると情報が入ってこないから、何が正しくて何が間違っているかも分からない。それがつらかった」と訴え、障害のある子供が、やってみたいことや困っていることを遠慮なく周りの大人に言えたり、大人も本人の希望に耳を傾けたりできる環境づくりが必要だと呼び掛けた。

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