肢体不自由の生徒が未来へプレゼン 夢や提言を全国に発信

特別支援学校に通う肢体不自由の生徒が、自分自身の夢や社会への提言を発表する「ミラコン2020~未来を見通すコンテスト~第3回プレゼンカップ全国大会」(全国特別支援学校肢体不自由教育校長会主催)のファイナルステージが12月16日、東京都世田谷区の都立光明学園(田村康二朗校長、児童生徒225人)で開かれた。インクルーシブな社会の実現に向けて、生徒らは障害のある自分たちだからこそできることを発信した。

遠隔システムで発表する生徒

今大会には、全国の特別支援学校40校から105作品の応募があり、各地区ブロックの予選を経て、7人の生徒がファイナルステージに進出。ファイナルステージでは、各校を遠隔システムでリアルタイムにつなげ、プレゼンテーションの様子はYouTubeなどでも配信された。7人の審査員による「表現力」「熱意」「説得力」「独創性」の各観点での評価の結果、最優秀の文部科学大臣賞には福岡県立直方特別支援学校高等部3年の中島寧音さんが輝いた。

「寝たきりだからこそ出会えたこと」というテーマで発表した中島さんは、分身ロボットの「OriHime(オリヒメ)」を使って、オリヒメを開発したオリィ研究所が実証実験として行った「分身ロボットカフェ」のスタッフに挑戦した。自宅にいながら、オリヒメを操作して東京のカフェで接客を行った。

「最初はお客さんになかなか話し掛けられず、落ち込むこともあったが、仲間が励ましてくれた。『私は一人ではない。思い切って楽しもう』と思えるようになった。この経験を通して私の社会参加を見つけた」と中島さん。「私は手を振ったり、うなづいたりできないが、オリヒメならばできる。みんなの当たり前が私にとっては特別。自分の思いを自由に表現できるのが分身ロボットだ」とオリヒメの利点を説明した。

中島さんは「外出困難な人にもこの喜びを感じてほしい。何もできないとあきらめている人に、自分なりの方法で社会参加でき、希望になることを伝えていきたい」と語った。
3年連続で出場し、優秀賞に選出された群馬県立あさひ特別支援学校高等部3年の米山翼さんは、「一人で観光地に行き、風景や自然を自由に楽しむこと」が夢。そこで、車椅子でも気軽に運転できる車があればこの問題を解決できると考えた米山さんは、インターネットで片山技研が開発した「コアラ」という車椅子に乗ったまま運転できるバイクを知り、開発した同社代表取締役の片山秋五さんにオンラインでインタビューした。けがでバイクの運転ができないと医師から診断された片山さんから、「個人に選択の余地があること」をコンセプトにしてコアラを開発したことを聞いたという。

米山さんは片山さんとの出会いから、「自分自身で決めることの大切さを感じた。心からやりたいことに自分からバリアをつくらないこと。施設や設備のバリアフリー化、健常者のバリアフリー化を進めたその先に、私自身のバリアフリー化がある。夢のために行動し、社会をより良い方向に変えていきたい」と力を込めた。

「独創性賞」に選ばれた北海道岩見沢高等養護学校1年の長谷川宙さんは、地域の小中学校と特別支援学校の両方で学んだ経験を持つ。長谷川さんは「特別支援学校の授業はマンツーマンで、設備も整っていた。その後、念願だった地域の小学校に転校し、多くの友達と一緒に学べたことは新鮮だった」と、それぞれの良さを感じる一方で「最初に希望した小学校に入学できなかったのは悔しかった。この悔しい思いを後輩にはしてほしくない。どの地域にいても、誰もが希望する学校に通えるようにしてほしい」と訴えた。

講評を行った文科省の菅野和彦特別支援教育調査官は「この大会の素晴らしさは、新型コロナウイルス感染症の拡大前からオンラインで開催し、距離に関係なく全国に向けて提言を発信していることだ。全国の仲間から刺激を受けて、互いに学び合える場となっている。皆さんだからこその視点をこれからも大切にしてほしい。それが、社会を変えていくヒントやエネルギーになっていく」と大会の取り組みを高く評価した。

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