長期入院中の高校生の学び 当事者ら支援の大切さ訴える

入院中の高校生が学びを継続できる環境を――。全国病弱教育研究会は12月20日、オンラインによる全国大会を開催し、重い病気のある子供への学びの支援の課題について、関係者らが意見交換を行った。小児がんなどで長期入院を経験した高校生や大学生が、入院中も高校の授業を受けられるようにする環境づくりの重要性を訴えた。

入院中の高校生の教育保障をテーマにした第2分科会では、同研究会副会長の栗山宣夫育英短期大学教授が、長期入院中の高校生の教育機会に関し、全国の自治体における確保状況について報告。それによると、宮城、福島、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、滋賀、大阪、広島、沖縄などの各都府県と札幌や京都などの政令市で、入院中の高校生への学習支援が行われていた。

その形態は多様で、県立高校の通信制課程に学籍を移す(福島県、滋賀県)ケースや、特別支援学校高等部に学籍を移す形で、院内学級で学べるようにしたり、訪問学級に対応したりするケース(札幌市、群馬県、東京都、沖縄県)、学籍は在籍する高校のまま、非常勤講師を病院に派遣するなどのケース(埼玉県、神奈川県、愛知県、大阪府)などがあった。また、一部の自治体では、ICTを活用した遠隔授業も始まっていた。

こうした各地の実施状況や当事者に対して実施したアンケートを踏まえ、栗山教授は「訪問学級や院内学級と遠隔授業の両方を希望する声が多くあることを踏まえると、教育の形態が院内・訪問学級か遠隔授業かという二者択一ではない。入院前に在籍していた高校との連携協力もしながら、適切な役割分担を検討する必要がある。生徒の要望に応じて、併用できるようにすべきだ」と指摘した。

分科会の後半では、高校在学中に長期入院を経験した高校生や大学生が出演し、入院中に感じていた学習支援の課題について語った。

急性骨髄性白血病にかかり、2回にわたる骨髄移植手術を受けることになった奥野七夢(なつむ)さんは現在、通信制高校に入り直し、プロ野球選手になるのを目指している。そんな奥野さんは、入院中の様子を振り返りながら「入院先では、単位を取れずに留年してしまうことに不安に感じ、みんなと一緒に卒業したいという高校生と多く知り合った。病院でも単位が取れて進学できる状況をつくってほしい。入院中、院内学級の先生が来てくれたり、大学生のボランティアが来てくれたりした。入院中は一人のときが多くて不安になる。院内学級があると年の近い子と友達になれ、精神的な不安も少しは和らぐと思う」と、院内学級の人間関係や学びの継続の大切さを語った。

現在は大学生となり、理学療法士への道を進もうとしている立入(たちいり)健太朗さんは、9歳のころに発症した縦隔胚細胞腫瘍の治療の影響で15歳のころに骨肉腫ができ、人工関節の置換手術を行った。高校在学中の入院では、勉強に遅れないようにと教科書を読んだが内容が理解できず、学校側に授業の様子を録画した動画を提供してもらえないかと頼んだが、難色を示されたという。

立入さんは「先生からは『今は治療に専念して、勉強は退院してから頑張ろう』と言われたが、自分はベッドに寝ているのに、他の友人は勉強を頑張っているのかと思うと精神的にきつかった。義務教育である小中学生には院内学級があるが、学習内容の難しさに視点を変えれば、高校生にも勉強できる環境が必要だ」と強調。

その上で「コロナの影響でオンライン授業も大学や高校で当たり前になった。入院中の高校生が頼めば、授業動画の提供も当たり前になるのではないかと期待している」と学校側の対応の改善を求めた。


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