大学の対面授業「半分未満」187校 「学生は納得」8割超

コロナ禍で大学の対面授業が減っている中、文科省は12月23日、後期が始まった10月20日時点で、授業の実施状況を調べた再調査の結果を公表した。9月の前回調査で対面授業の割合が半分未満と回答した大学・短大・高専377校のうち、実際に対面授業の実施割合が半分未満だったのは187校だった。この187校のうち158校は、オンラインを中心とした授業形態について「学生の理解や納得を得られている」と答えた。文科省は当初、対面授業の実施割合が半分未満となる大学名を公表する方針だったが、大学側の反発もあり、調査対象となった377校全ての実施状況をホームページ上に掲載。各大学が学生の理解や納得を求めた好事例も紹介した。

大学の対面授業の実施状況を説明する淵上孝・文科省高等教育局高等教育企画課長

今回の再調査では、9月の前回調査で、「3割が対面」「ほとんど遠隔」などと、対面授業の割合が半分未満と回答した大学・短大・高専合わせて377校を対象に、10月16日から12月18日にかけて、10月20日時点の授業の実施状況を聞いた。文科省は、オンライン授業の単位数について、全体の半分にあたる「60単位を超えない」と定めた大学設置基準を、コロナ禍で特例的に次年度まで緩和することをすでに通知する一方、今回の調査結果についても、後期の授業で半分以上を対面授業で実施できるかどうかを評価の目安とした。

再調査の結果、調査対象377校の50.4%にあたる190校で、授業全体の半分以上を対面授業で実施していた。

これに対し、調査対象の49.6%にあたる187校では、対面授業の実施割合が半分以下だった。この187校に対して、学生の理解や納得を得るための取り組み状況を調べたところ、授業の形態について「ほぼ全ての学生が理解・納得している」との回答が18校(9.6%)、「大多数の学生が理解・納得している」との回答が140校(74.9%)あった。対面授業の実施割合が半分以下となっている187校のうち、合わせて84.5%に当たる158校で、学生の理解や納得が得られているとの結果となった。

対面授業の実施割合が半分以下でも、学生の理解や納得が得られている大学が多かった理由について、文科省では、「学生本人やその家族の健康、地域社会における安全など、大学が考慮した事項を学生に丁寧に説明したり、学長や学部長のメッセージを発信したりしている」と指摘。図書館など学内施設の開放や、学生同士が交流できる機会の設定、オンライン授業の質の向上、学生の相談に担当者が丁寧に回答や対応を行っていることも理由だとして、各大学の取り組みや工夫の具体例を示した。

コロナ禍における大学の授業を巡っては、多くの大学がキャンパスの閉鎖などを迫られる中、新入生を中心に「せっかく入学したのに一度もキャンパスに行けず、友人もできない」との声が拡大。文科省が9月に大学・短大・高専1060校を対象に後期の授業の実施状況を調べたところ、「3割が対面」「ほとんど遠隔」など対面授業の実施割合が半分以下の大学が43.6%を占めた。これを重視した萩生田光一文科相は、10月16日の閣議後会見で、「学生の納得感が大切」として対面授業の再開を促し、実施状況を再調査して、大学名を公表する考えを示した。

これに対して、大学側は困惑。11月19日に行われた萩生田文科相と大学団体を代表する大学学長らとの意見交換では、「意外とオンライン授業の評価が高い」(日本私立大学協会会長代行の小原芳明・玉川大学長)との指摘が出る一方、大学名の公表については「地域による多様性を考慮し、そのような誘導は避けていただきたい」(公立大学協会会長の鬼頭宏・静岡県立大学長)と、はっきりと反対する声も出た。

今回の再調査結果は、こうした文科省と大学側のすれ違いが表面化した末に公表された。淵上孝・文科省高等教育局高等教育企画課長は「大学関係者の意向等も踏まえ、単に対面授業の実施割合によって大学が評価されることがないよう、各大学の取り組み状況全体を把握し、発信することを主眼に、また、各大学と丁寧なやり取りを行った上で、結果を取りまとめた」と説明している。

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