自律した学習者育成を強調 教育課程部会が審議まとめ案

中教審教育課程部会は12月22日、第122回会合をオンラインで開き、第10期としての審議のまとめ案を大筋で了承した。前回会合での議論などを踏まえ、素案から学習評価に関する項目を独立させ、ICTを活用した個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を強調。コロナ禍による長期休校の経験を踏まえ、子供が自ら学びを進める力や、STEAM教育による問題解決能力の育成などへの記述を追加した。

審議のまとめ案で示された、これからの学びのイメージ

この日示された「教育課程部会における審議のまとめ」の案では、Society5.0時代の到来を見据え、学習指導要領に基づく個別最適化された学びと協働的な学びを、コロナ禍の学校や地域で展開していく際の視点を整理。学校がカリキュラム・マネジメントを行いながら、STEAM教育などの教科等横断的な学習を通じて、子供たちの資質・能力の育成を図れるように教育課程の改善を進めることの重要性をうたった。

前回の議論を踏まえ、GIGAスクール構想の前倒しによる1人1台環境の実現を想定し、ICTを個別最適化された学びや協働的な学び、遠隔授業など、さまざまな活動で活用していくことに言及。特に長期にわたった休校の経験を受けて、子供たちが自律した学習者として、自ら学習を調整しながら粘り強く学べるような「個に応じた指導」の充実を打ち出した。

一方で、これまで日本の学校教育が重視してきた協働的な学びに関しても、リアルな人間関係づくりや体験の重要性は今後一層高まると指摘。子供がそれぞれの違いを認め、協力し合える学級経営についての記述が加えられた。

また、新たに指導と評価の一体化の考え方に立った学習評価の改善についての項を独立させ、一人一人の子供の学習プロセスに着目した形成的な評価の実施や、子供が自ら学習の進め方を改善していけるような指導・支援、補充的・発展的な学習活動の評価への反映などを追加した。

この日の会合では、第10期としては最後の会合となることから、教育課程などに関する今後の課題についての発言が相次いだ。

埼玉県戸田市教委の戸ヶ﨑勤教育長は「中学校では来年度から新学習指導要領が実施される。総合的な学習の時間の充実やICT利活用、教科等横断的な学びが、小学校と比べて中学校には課題が多いと認識している」と述べ、中学校における教科等横断によるカリキュラム・マネジメントの課題を指摘した。

また、千葉大学教育学部の貞広斎子教授は「小学校に入学した段階から、子供の学力には社会的経済的背景に起因した格差が存在している。その格差を是正するためには指導の個別化で、小学校低学年の子供たちの指導のどこを充実させ、手をかけるかが重要で、そのためには条件整備の傾斜的なありようも視野に入れる必要があるのかもしれない」と、家庭や地域における教育格差の是正を課題に挙げた。

上智大学総合人間科学部の奈須正裕教授は「将来的に、今カリキュラム・マネジメントとして呼んでいる働きが、特にそう言わなくても、学校のカリキュラム編成に、カリキュラム・マネジメントの全ての要素が包摂されるような認識が、実践やそれを支える政策的な動向になることが、長期的に目指す姿ではないか」と述べ、学校ごとの教育課程編成の自律性と国の関与の在り方を巡る議論を促した。

審議まとめ案は今後、中教審総会で諮られ、答申として取りまとめられる予定。

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