【大学入試】英語4技能評価の論点整理 検討会議で提示

文科省の「大学入試のあり方に関する検討会議」が12月22日に開いた第20回会合で、座長代理を務める川嶋太津夫大阪大学高等教育・入試研究開発センター長は、これまでの議論を踏まえ、論点を整理した。4技能評価の意義に加え、大学入学共通テストでの資格・検定試験活用への課題と解消策、高校教育までの学校教育の充実、4技能評価の実施上の課題などの項目をまとめた。

共通テストで資格・検定試験を活用することについては▽国・大学入試センターと試験団体の関係▽地域・経済格差▽障害者への配慮▽異なる複数試験を単一尺度で対照させる仕組みの妥当性▽コロナ禍での安定実施の懸念――などを整理。解消策として、試験会場の大幅増、受験料の更なる減免、障害者への合理的配慮のバラツキ解消などを挙げた。

また、高校教育までの学校教育の充実については▽各高校で育成することを目指す資質・能力の再確認▽効果的な指導・評価方法の普及▽教科横断的に学習・探究したことを生かして、英語で発信したり交流したりする機会の拡充▽ICTの活用、ALTや英語堪能な人材の効果的活用――を挙げた。

こうした整理に対し、委員の渡部良典・上智大学言語科学研究科教授は「英語ができないと言われるのは入試の問題ではなく、初等中等教育、高等教育が十分に機能していないということ。課題は『できるべき人ができない』ということで、全員に高いレベルの英語は必要ない。入試は門番の役割として、最低限の資格があるかを確認する、単純なものにするべき。機能をたくさん持たせると運営が難しくなり、課題も多くなる」と指摘した。

会合に出席した萩生田光一文科相は「(大学を対象とした)アンケートを見て落胆したが、文科省が考えているほど皆さんは(英語4技能の)必要性を感じていなかったという一面が数字の上では読み取れた。国際社会を目指したときに、英語4技能をある程度身に付けた若者たちを育てて社会に出していく、という使命も、われわれにはきっとあるのだと思う」として、取りまとめに向けた議論を促した。

川嶋座長代理が示した論点整理のポイントは次の通り。

(1)英語4技能の育成・評価の意義
  • センター試験で最も受験生が多い科目は英語(本試験受験者全体に占める割合98.39%(令和2年度)
  • センター試験でのリスニングを受験する受験生の割合は97.17%(令和2年度)
  • 個別入試(一般選抜)において最も課されている科目は英語(必須+選択=88.7%)
  • 「英語活用実態調査 企業・団体ビジネスパーソン」(2019、国際ビジネスコミュニケーション協会)
  • 今後のビジネスパーソンにとって重要な知識・スキル 1位:英語:82.6%
  • 企業団体が目標とする英語スキル 1位:英語で行われる会議で議論できる:19.9%
  • 高校の英語教育では、昭和35年告示の学習指導要領以来4技能を総合的に育成することを明示
(2)英語資格・検定試験活用の意義

①受験生の視点

②大学側の視点

  • 英語の資格・検定試験の活用(活用あり+活用予定)…一般入試21.1%、AO入試36.8%、推薦入試24.4%
  • 英語の資格・検定試験の活用を検討 (検討中+検討予定)…一般入試34.5%、AO入試21.0%、推薦入試28.0%
(3)共通テストの枠組における資格・検定試験の活用の実現可能性

①共通テストでの枠組での資格・検定試験の活用に対し指摘された課題(例:国・センターと試験団体の関係、地域・経済格差、障害者への配慮、異なる複数試験を単一尺度で対照させる仕組の妥当性、コロナ禍での安定実施の懸念)

②課題の解消策として提案されたもの(例:試験会場の大幅増、受験料の更なる減免、障害者への合理的配慮のバラツキ解消)

(4)大学入試センターによる4技能試験の開発の実現可能性

採点をめぐり記述式と同様の課題に直面 ※ 将来的な可能性の有無

(5)個別選抜における英語4技能評価の形態

①資格・検定試験の活用(対象試験、スコアの有効期間(受検時期)、比較方法など)

  • 共通テスト又は個別試験で英語を課しつつ、資格・検定試験スコアを持っている生徒はそのスコアでの代替等を認める選抜区分の設定
  • 資格・検定試験スコアを必須とする選抜区分の設定(その際には、スコアを提出できない場合の代替措置の設定)

②独自の4技能試験の実施(例:外部団体との連携による試験開発、先進事例の横展開)

(6)4技能評価の実施上の課題

①資格・検定試験について低所得層の費用負担軽減、離島・へき地等在住者の受検機会確保

②資格・検定試験実施団体及び高大関係者等による協議の必要性(例:低所得層への検定料減免、オンライン受検システム整備、合理的配慮の推進、質に関する第三者評価など)

③受験生、大学にとって利便性の高い資格・検定試験の成績提供のあり方

④国による積極的な取組事例の収集公表

(7)高校教育までの学校教育の充実

①各高等学校で育成することを目指す資質・能力の再確認(新学習指導要領の周知徹底、大学進学だけでなく多様な進路に対応した目標設定)

②効果的な指導・評価方法の普及(定期テスト等における4技能評価の改善、資格・検定試験の効果的な活用など)

③教科横断的に学習・探究したことを生かして、英語で発信したり交流したりする機会の拡充(例:プレゼンテーション、ディベート、短期留学、海外交流など)

④1CTの活用、ALTや英語堪能な人材の効果的活用

(8)大学入学後の教育の充実

①英語力の育成・評価について、3つのポリシーでの明確化・連動強化

②質の高いプログラムの充実(好事例の普及、インセンティブ付与)

③評価の充実(検定試験の活用、成果の可視化)

④英語力育成・活用の機会拡充(例:英語による授業、レポート、プレゼンやディスカッション、海外留学、留学生交流等)

⑤就職時に求められる外国語能力の基準

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