文科省GIGA StuDX推進チーム発足 優良事例を共有

菅義偉内閣の看板政策である行政のデジタル化に対応するため、文科省は12月23日、デジタル化推進本部(本部長・萩生田光一文科相)の第2回会合を開き、「文科省におけるデジタル化推進プラン」を取りまとめた。学校教育関連では、1人1台端末の利活用スタートに向け、学校現場を実践的に支援する「GIGA StuDX推進チーム」を設置。全国の教委や学校が実際に経験した1人1台端末の導入や活用の優良事例を共有し、ICT利活用の推進役となっている指導主事ら担当者間が情報交換を行えるプラットフォームを構築する。同省では「文科省が模範例を示すのではなく、全国の優良事例を横展開し、学校現場の知恵を全国レベルで共有するのが目的」と説明している。

文科省GIGA StuDX 推進チームが紹介する24の優良事例

文科省におけるデジタル化推進プランは、「教育におけるデジタル化の推進」「デジタル社会の早期実現に向けた研究開発」「『新たな日常』における文化芸術・スポーツ・行政DX」の3つの政策分野と、分野横断的な「DX人材の育成および確保」という4つの柱が立てられている。このうち、教育分野では、1人1台環境とそれに対応した教室用机の整備、通信ネットワーク環境の整備、学習者用デジタル教科書の普及促進など学校関連のほか、高卒認定や中卒認定の受験申請と証明のデジタル化、教育データの標準化とその利活用によるEBPMの推進などが挙げられている。

デジタル化推進本部であいさつする萩生田光一文科相(中央)

会合であいさつした萩生田文科相は「学校現場における1人1台端末環境の効果的な利活用を促進するため、省内に新たに推進チームを設置するなど、GIGA スクール構想におけるハード、ソフト、人材が一体となった取り組みについて、早急に実行に移していく必要がある」と指摘。DX人材の育成と確保については「無機質で合理的な人材を育てていくのではなく、愛や思いやり、人のぬくもりをもったDX人材を育てていくことができるように心掛けていかなくてはならない」と述べた。

学校現場にとって、実践的な支援として期待されるのは、初等中等教育局の関連部署が連携して設置する「GIGA StuDX推進チーム」の発足。GIGA StuDXは、GIGAスクール構想の浸透による学びのDX(デジタルトランスフォーメーション)と、学校現場のICT 利活用を促進するためのExchange(情報交換)を掛け合わせた造語で、「ギガ スタディーエックス」と読ませる。

推進チームの取り組みとして、12月23日、文科省のホームページ内に特設サイト「StuDX Style」(スタディーエックス スタイル)を立ち上げた。「はじめてのGIGAスクール~ 1人1台端末を、みんなで使い始めよう~」と題して、全国の教育委員会や学校現場が実際に取り組んできた1人1台端末の導入や活用の優良事例から、これから1人1台端末の利活用をスタートさせる全国の教育委員会・学校にとって有益と思われる内容を精選して紹介している。

具体的には、教師と子供、子供同士、学校と家庭、教職員同士の4つの「つながる」を掲げ、学校現場がGIGAスクールに慣れ、1人1台端末を日常のツールとして使いこなしていく道筋を24の優良事例で示した=表参照。いずれもGIGAスクール構想で整備されている標準的な端末で利用可能なオンラインソフトなどを活用しており、追加的なソフトウエアなどは必要ない。

例えば、「GIGAに慣れる」として、小学校3年生以上を対象に、毎日の帰りの会でその日の振り返りを5分間かけて端末のキーボードを使って記述し、タイピング練習を行っている事例を紹介。この事例を実際に指導した教員の体験として「毎日帰りの会で5分間のタイピング練習を行っている。最初は視写(練習用ソフトを使用)をしていたが、1カ月ほどで基礎技能が身に付いたので、最近は自分で考えたことを入力するようにしている。思ったことや考えたことを自由に打てるようになることが、児童の自信につながっている」と説明。必要な準備として「ドキュメントソフト(OS標準)」「アンケート機能+表計算ソフト(OS標準)」といったリストを挙げ、実践方法を分かりやすく記載している。

さらに、ICT 活用教育アドバイザーのコメントとして、「朝の会や帰りの会、そのほかの隙間の時間を利用して、ICTの操作スキルを育成する実践です。まとまった時間を取ることができない場合や、教育課程にうまく位置付けることが難しい場合に有効な取り組みです。また、毎日取り組むことで文字入力のスキルは確実に向上し、その結果、授業での活用が進んでいきます」といった学校現場へのアドバイスを付けた。

推進チームの中心になっているのは、さいたま市教委から文科省に出向している後藤正憲専門官と新潟市教委から出向している堀田雄大専門官。公立学校でデジタル化がほとんど進んでいない実情を踏まえ、「例えば、保護者会などの出欠確認や個人懇談の日程希望調査は、これまで家庭と紙媒体でやりとりしていたので、受け持ちのクラス分を取りまとめ、日程調整するだけで、何時間もかかった。これをオンライン化して、クラウド上にあるアンケート機能とOS標準の表計算ソフトを使えば、希望調査の印刷、配布、回収、集計が簡単にできる。そうした初歩的だが、学校現場にとって実践的なノウハウとなる優良事例を選んだ。教員の働き方改革にもつながるはず」(後藤専門官)と、実感を込めて優良事例の活用を促している。

推進チームでは今後、全校の教育委員会や学校現場でICT利活用の推進役を担っている指導主事クラスの担当者が、他の教育委員会や学校の優良事例を知ったり、自分たちの課題解決に役立てたりする情報交換が行えるように、プラットフォームを立ち上げる。

文科省におけるデジタル化推進プランの教育関連部分
【教育におけるデジタル化の推進】
1.GIGAスクール構想による一人一台端末の活用をはじめとした学校教育の充実
  • GIGAスクール構想等による一人一台環境の整備、一人一台端末環境に対応した教室用机の整備
  • ICT端末の安全・安心な活用の促進、通信ネットワーク環境の整備・円滑化、学校のデジタル化等の推進
  • 学習者用デジタル教科書の普及促進、CBT活用の推進、発達段階に応じた遠隔・オンライン教育の推進
  • 「GIGA StuDX 推進チーム」の設置による全国の教育委員会・学校に対する支援活動の展開
  • 教師のICT活用指導力の向上、ICT活用教育アドバイザー、GIGAスクールサポーター、ICT支援員等による支援等
2.大学におけるデジタル活用の推進
  • デジタル技術を活用した高等教育の高度化・成果の普及
  • 国立大学法人等におけるハイブリッド教育研究環境の整備、大学入学者選抜におけるデジタル活用等
3.生涯学習・社会教育におけるデジタル化の推進
  • 高卒認定・中卒認定の受験申請・証明のデジタル化
  • 専修学校におけるオンライン・先端技術利活用の推進と支援のための環境整備
  • 生涯学習・社会教育分野のICTを活用した取組の推進等
4.教育データの利活用によるEBPMの推進
  • 教育データの標準化、効果的な利活用の推進
  • 教育データの国における分析・研究体制とEBPMの推進等
【DX人材育成及び確保】
  • DX人材の育成・確保に向けて
  • 学校におけるICT活用を推進し、小中高において学習の基盤となる情報活用能力を育成
  • デジタル時代の「読み・書き・そろばん」である「数理・データサイエンス・AI」の基礎などの必要な力を全ての国民が育み、あらゆる分野で人材が活躍する環境を構築
  • Society 5.0時代を先導するデジタルネイティブな人材(データ駆動型研究や研究現場のDXを主導できる人材等)の育成・確保
  • 文部科学省におけるDX関係職員の養成、確保等

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