文科省の「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議」は12月22日、第13回会合をオンラインで開き、今後の特別支援教育の方向性や検討課題を示した同会議としての報告案を取りまとめた。また、特別支援学校の教室不足についての詳細な調査結果も報告され、教室の間仕切りや倉庫・準備室の転用など、児童生徒の増加で一時的な対応をしている教室は全国で7221教室に上ることが示された。

同省では、前回会合で示された素案をベースに、委員からの意見や、11月25日~12月4日に行ったパブリックコメントで寄せられた1372件に上る意見を検討。報告案に反映させた。
特に、障害の有無にかかわらず、さまざまな子供が共に学ぶインクルーシブ教育の考え方や、遠隔教育をはじめとするICTを活用した学びについて、特別支援学校だけでなく、あらゆる校種で展開していくことを強調。教育環境の改善では、国に対して、特別支援学校に備えるべき施設などを定めた設置基準の策定を求めた。
また新たに、障害のある教職員の雇用を積極的に進め、児童生徒の障害への理解などにつなげることの重要性を追加した。
出席した委員からは、個別の支援計画の策定などで子供自身の意見を尊重することや、国立特別支援教育総合研究所の機能強化などの指摘があった。
この日の会合では、特別支援学校での教室不足の現状についても、文科省が把握している実態が報告された。

それによると、2019年5月1日時点で、児童生徒の増加などにより、他の教室を転用したり、間仕切りを設けて2つの教室に分けたりしているなどの教室は7221教室で、その内訳は▽仮設建物借用教室 944教室▽特別教室の転用 2022教室▽管理諸室の転用 545教室▽教室の間仕切り 1594教室▽体育館・廊下等の間仕切り 114教室▽倉庫・準備室等の転用 278教室▽その他の対応 1724教室。
このうち、3162教室が不足する教室数とされ、21年度までに解消が計画されているのは429教室に過ぎないなど、深刻な状況にある。
文科省では、都道府県などに対して、教室不足解消計画の策定を促すとともに、特別支援学校の設置基準の策定に向けた検討を進めることなどにより、教室不足の解消に取り組むとしている。
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