小学校「35人学級」を評価、次なる課題の指摘も 中教審

公立小学校の学級編制を今後5年間で、段階的に35人まで引き下げることが決まったことを受け、中教審は12月25日、総会でこうした少人数学級の方針について議論するとともに、個別最適な学びと協働的な学びなどを盛り込んだ答申素案を検討した。委員からは学級編制の引き下げを評価する意見が多く寄せられたが、目指すべき「全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学び」を実現するため、さらなる課題を指摘する声もあった。

ウェブと対面を組み合わせて行われた会議を進行する渡邉光一郎氏

中教審初等中等教育分科会で分科会長を務める荒瀬克己・関西国際大学学長補佐・基盤教育機構教授は「まさしく学校現場、教育関係者の非常に強い願いとして、1学級の人数を減らしたいということがあった。このコロナ禍できめ細かな指導をしていく、あるいは安全・安心な教室環境を整えていく点からも非常に重要であるということで、文科省が非常に強くその点を挙げて関係省庁と協議した結果、国として子供たちの学習をしっかり支えていこうという方向が出たのだと思っている」と述べた。

また「35人が多いか少ないかという議論はもちろんあるが、一歩進んだというのは間違いないことで、こうしたことでこれからの社会を生きていく、社会を支えていく子供たちの学びがしっかりと守られていくのは、非常によいことだと思っている」と評価した。

文科省の初等中等教育局財務課の森友浩史課長は「個別最適化を進めるための両輪として、1人1台(端末の整備)と少人数学級を(中教審などで)議論いただいたことが大きな後押しになった」と報告した。

委員の意見としては、㈱INCJの志賀俊之代表取締役会長(CEO)が「(小学校で)35人学級の予算が取れるようになったのは非常によい一歩だが、真剣に個別最適化学習を日本で進めるという決意を持ち、中教審答申素案に書かれていることを実行するには、今まで以上にたくさんの予算が必要になる。予算の裏付けなく実行しようとすると、現場にしわ寄せが行ってしまう」と訴えた。

また認定NPO法人カタリバの今村久美代表理事は、不登校児童生徒の増加を背景に、「少人数学級が進んだのはよいことだが、学校という枠組みに合う子供たちに対しての、教員確保という点だけを目指すだけでよいのか。非常勤・兼業で関わる人を増やすことでコストカットを目指すのではなく、(教育に関わる人材の)多様性を確保し、さまざまなニーズのある子供たちに応える仕組みを本気で検討し、教員免許を取得した人だけでなく多様な人々が参加できるようにすべきではないか」と述べた。

答申素案「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~」では、2019年の4月に諮問を受けた後、コロナ禍により再確認された学校の役割や課題を踏まえ、答申としてまとめるまでの経緯や、答申の構成や位置付けなどに関する解説が追記された。

中教審では今後、来年1月に行われる初等中等教育分科会・新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会合同会議で答申素案について議論し、その上で再び総会において議論する予定としている。


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