菅首相、1都3県に緊急事態宣言を決定 一斉休校は要請せず

新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化する中、菅義偉首相は1月7日、首相官邸で開いた新型コロナウイルス感染症対策本部の席上、首都圏の1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)に、緊急事態宣言を出すことを決定した。期間は1月8日から2月7日までの1カ月間。午後8時以降の不要不急の外出自粛や出勤の7割削減ほか、飲食店には午後8時までの営業時間短縮を要請した。学校関連では、小中高などに一斉休校は要請しないことを確認した。ただ、文科省は部活動について、感染リスクの高い活動を一時的に制限するよう求めている。高校入試や大学入試は予定通り実施する。記者会見した菅首相は「この状況は必ず克服できる。そのためにはもう一度、制約のある生活をお願いせざるを得ない」と述べ、社会生活にさまざまな制限を課すことに理解を求めた。

菅首相は、今回の緊急事態宣言における学校教育の対応について、「学校については、これまで学校から地域に感染が広がった例はほとんどなかった。その中で、未来を担う子供たちの学びの機会を守りたい」と説明。「今回は小中学校、高校、大学、幼稚園、保育園について休校、休園はお願いしません」と続け、政府として学校設置者である都道府県などに一斉休校を要請する考えがないことを確認した。

文科省によると、学校の本格再開後の昨年6月から12月までに新型コロナウイルスに感染した児童生徒は6159人、教職員は830人。「家庭内感染」が小学生は75%、中学生で60%なのに対し、「学校内感染」は小学生6%、中学生11%となっており、5人以上の感染者が確認された事例も小学校23件、中学校21件だった。ただ、行動範囲が広い高校生では、「家庭内感染」が31%なのに対し、「学校内感染」が28%で、5人以上の感染事例も78件あった。こうした状況を踏まえ、菅首相は休校要請を見送った。

大学について、菅首相は記者会見で「対面の授業、オンラインでの授業、効果的に組み合わせていただくように要請します」と述べ、対面とオンラインを組み合わせた授業の実施を求めた。

緊急事態宣言の決定に先立ち、文科省は1月5日付で都道府県教委などに出した通知で、地域一斉の臨時休校について「学校のみを休校とすることは、子供の健やかな学びや心身への影響から、避けることが適切」と指摘し、緊急事態宣言による制限があっても、社会経済活動が維持されている状態では、学びの保障の観点から休校を回避するように要請。また、児童生徒や教職員に感染者が発生した場合であっても、「感染者が1人発生したことのみをもって、学校全体の臨時休校を行うことは控えてください」と求めた。

一方、部活動では、特に高校でクラスター発生につながるケースが増えているため、合唱や直接体に触れる競技など「感染リスクの高い活動を一時的に制限することも含め検討する」ように通知。「同じ部活動に所属する生徒が食事する際なども含め、部活動の内外を問わず感染症対策を徹底し、寮や寄宿舎の集団生活でも感染症対策を改めて確認する」よう促した。

高校入試と大学入試について、文科省では予定通り実施するよう求めている。萩生田光一文科相は1月5日の臨時会見で、高校入試について▽受験生同士の間隔を広くとる▽試験会場への入退場時間をずらす▽休憩時間も極力会話を避けるように注意喚起する–など対策を列挙した。

大学入試についても「受験生が利用する宿泊施設や公共交通機関における感染症対策の徹底と、試験場やその周辺および公共交通機関でも密集状態を作らないことなどについて関係先に要請を行い、政府全体で受験生をサポートしていく」と説明。「受験生が安心して実力を発揮できることができるように受験機会を確保することが重要」として、各大学の一般選抜で9割以上の大学が追試験の設定を決めたことを明らかにしている。

緊急事態宣言は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて2020年3月に改正された新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、政府の対策本部長である首相が出せる措置。宣言が発令されると、対象地域の都道府県知事は明確な法的根拠を持って外出自粛や飲食店の休業要請、学校や福祉施設などの使用制限、臨時の医療施設の開設などを要請できる。

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