他校の教師が実践しているオンライン授業を、生徒役になって疑似体験――。神奈川県高等学校教科研究会情報部会が主催する「情報科実践事例報告会」がこのほど、オンラインで開催され、オンデマンドによる実践事例発表や模擬授業の体験会が行われた。全国各地の情報科の教員が参加し、オンライン授業のノウハウなどの実践知が共有された。

同部会では毎年末に、県内外の情報科の教員による実践事例報告会を開催してきたが、新型コロナウイルスの影響でオンライン開催となった今年は、それを逆手に取り、北は秋田県から南は沖縄県まで、全国各地の情報科の教員があらかじめ撮影した発表動画を提出する形でのオンデマンド型の実践事例発表とし、合計で46本もの実践事例を一挙に配信。さらに、9人の教員がオンライン授業形式で模擬授業を行い、希望すれば生徒役となって実際に体験できるプログラムも用意した。
模擬授業を行った東京都立目黒高校の中山享司教諭は、実際に大学で使われた英語の入試問題を基に、使用されている英単語の頻度などのデータ分析をする「テキストマイニング」の授業を実施。参加者は、付箋(ふせん)を共有できるアプリを使い、気付いたことを書き出していくと「意外に専門用語的な単語が少ない」などのポイントが見えてきた。
中山教諭は「実際にこの授業を生徒に行うと、単語を覚えるだけでは英語の攻略は無理だと理解する。なぜほとんどの単語は知っているのに英語を読めないのか、自分自身で検討するようになることに価値がある」と効果を説明した。
また、YouTube上で「どこがく」というオンライン授業などに関する動画チャンネルを手掛けている湘南学園中学校・高等学校の小林勇輔教諭は、同校のESD入試で行われている、YouTubeを使った動画による入試課題の提出方法を実演。参加者は、オンライン授業などを想定し、特定の人にのみ動画を配信できるテクニックについて、小林教諭からレクチャーを受けながら、実際に短い自己紹介動画を投稿した。
小林教諭は「YouTubeは授業で使いにくいといわれるが、学びに使えば使うほど、自分で見たいものや知りたいものの関連動画が出てくるようになり、最適化されていくようになる」と語り、授業での積極的な活用を呼び掛けた。
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