オンライン教育「早期に実行」 菅首相が施政方針演説

第204回国会が1月18日召集され、菅義偉首相は衆参両院の本会議で、昨年9月の首相就任から初めてとなる施政方針演説を行った。演説では、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、「一日も早く感染を収束させ、安心して暮らせる日常、にぎわいのある街角を取り戻すため全力を尽くす」と強調した上で、「一人一人が力を最大限発揮し、互いに支え、助け合える、『安心』と『希望』に満ちた社会を実現する」と抱負を述べた。学校教育については、教育のデジタル化を一挙に進めるとして、「子供たちの希望や発達段階に応じたオンライン教育を早期に実行」すると表明。小学校全学年の35人学級への学級編制見直しについては「一人一人にきめ細かい教育を実現」すると、狙いを説明した。

衆院本会議で施政方針演説を行う菅義偉首相(右下)

演説では、冒頭で「『安心』を取り戻す」として、新型コロナウイルス感染症対策を重点的に取り上げた。11都府県を対象とした緊急事態宣言については「飲食での感染を押さえ込むことが極めて重要」として、営業時間の短縮に改めて理解を求めた。また、医療体制の確保、雇用の確保に向けた雇用調整助成金の特例拡大、児童虐待の早期発見、困窮学生の支援と就職時の新卒扱いの柔軟化などに取り組む考えを確認した。

続いて「国民の『希望』を実現したい」と言及。「次の成長の原動力」として「グリーン」と「デジタル」を挙げた。

グリーンでは、政府主導の環境投資となる2兆円規模の基金創設や税額控除によって、先端技術の開発や実用化を加速させ、2035年までに新車販売で電動車100%を実現する考えを示した。デジタルでは、デジタル庁を創設するとともに、公務員の採用枠にデジタル職の創設を検討する。

教育については「教育のデジタル化も一挙に進める。小中学生に1人1台のIT端末をそろえ、9000人のデジタル専門家がサポートする。子供たちの希望や発達段階に応じたオンライン教育を、早期に実行していく」と説明。ICT関係企業OBなどの専門家を学校現場や各教育委員会に配置するGIGAスクールサポーターなどを充実させ、学校のICT環境整備を一気に進めた上で、本人の希望や発達段階に配慮した形でオンライン教育の実行を急ぐ考えを強調した。

少子化対策と社会保障の将来については、「給付は高齢者中心、負担は現役世代中心という構造を見直し、未来を担う子供からお年寄りまで、全ての人が安心できる社会保障への改革を進めていく」と基本的な考えを示した。

その上で、少子化問題について、不妊治療への保険適用、不妊治療休暇を導入する中小企業への支援などを取り上げた。待機児童問題については4年かけて14万人分の保育の受け皿を整備することで「最終的な解消」を図る考えを示した。男性が育児休暇を取得しやすいよう、全ての企業に職場環境の整備を義務付けることも述べた。

これに続いて、35人学級の実現に触れた。菅首相は「全国の小学校について、現在の40人学級を40年ぶりに人数を引き下げ、35人学級へと改める」と述べ、その狙いについて「現場で子供の状況を把握し、一人一人にきめ細かい教育を実現する」と説明した。

衆院本会議で施政方針演説を行う菅義偉首相(壇上)

演説の最後には、47歳で衆議院議員に初当選した際、当時の梶山静六官房長官からアドバイスされたという、2つの内容を「私の信条」として披露した。

「一つは、今後は右肩上がりの高度経済成長時代と違って、少子高齢化と人口減少が進み、経済はデフレとなる。お前はそういう大変な時代に政治家になった。その中で国民に負担をお願いする政策も必要になる。その必要性を国民に説明し、理解してもらわなければならない」

「もう一つは、日本は、戦後の荒廃から国民の努力と政策でここまで経済発展を遂げてきた。しかし、資源の乏しい日本にとって、これからがまさに正念場となる。国民の食い扶持(ぶち)をつくっていくのがお前の仕事だ」

菅首相は「これらの言葉を胸に、『国民のために働く内閣』として、全力を尽くしてまいります」と述べ、約44分にわたった演説を結んだ。

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