国の教育データの利活用 「誤解」に対し緊急シンポ

超教育協会(小宮山宏会長)はこのほど、オンラインによる緊急シンポジウムを開き、文科省の教育データの利活用に関する有識者会議の委員らが、国の教育データの活用に向けた国の方針について解説した。

マイナンバーの教育への活用について誤解が生じていると指摘する石戸理事長(Zoomで取材)

司会を務めた石戸奈々子同協会理事長は、昨年12月25日に国が閣議決定した「デジタル・ガバメント実行計画」の改定を巡る報道を受けて、マイナンバーと学校での成績がひもづけられ、本人以外でも利用できてしまうかのような誤解が生じていると指摘。「教育データは本来、学習者にも有益な利用ができるはずなのに、それがつぶされてしまうと懸念した」と、同シンポジウムを緊急で企画した経緯を説明した。

政府の「マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ」の構成員でもある楠正憲Japan Digital Design㈱CTOは、今回改定された実行計画の趣旨を解説。

改定によって学校健康診断データのマイナポータルからの閲覧の実現とともに、GIGAスクール構想におけるマイナンバーカードの有効活用が盛り込まれたことについて、「転校したときにeラーニングの履歴がリセットされないように、データをポータビリティー化して引き継げるようにすることが想定されている。それを2023年度以降、希望する学校や家庭で実現できるように取り組む。民間で好き勝手に個人の教育データを見られるようにするわけではない」と強調した。

また、文科省初中局の桐生崇・学びの先端技術活用推進室長は、現在の同省での教育データの活用に関する検討状況を説明。「教育データの活用は、学習者本人が利用する場合と、指導者が指導改善に使う場合の一次利用、それらのデータを匿名に加工するなどして、ビッグデータとして政策や研究に生かす二次利用の2つの局面があり、分けて考える必要がある」と述べた。

橋田浩一東京大学大学院教授は、埼玉県で運用を開始しているeポートフォリオと連携したPLR(Personal Life Repository)のアプリを紹介。校務支援システムと連携することで、個人の教育データを推薦状や調査書作成に活用できるといった利点を挙げた。

学生向けのPLRのアプリを開発している橋田教授は「アプリの機能として一番重要なのはマッチングだ。新入生や来日したばかりの留学生は、人とのつながりをつくりにくい。オンライン授業では、隣の学生と雑談するなどして関係性を築くことも難しい。アプリで興味や知識などをうまくマッチングできれば、これらの問題を解決できる」と話した。

埼玉県戸田市教委の戸ヶ﨑勤教育長は、同市で進めている教育データの利活用について報告。戸ヶ﨑教育長は「マクロな政策レベルであればビッグデータを使うが、教室レベルでの教育活動の観察分析の視点も重要で、日々の授業のスモールデータや教師の質的な行動分析も必要なのではないか」と問題提起。教師や教育委員会がこうしたデータを適切に活用できるようになるには、データリテラシーの向上が欠かせないと指摘した。

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