【特別支援】休校中の遠隔教育に学校差 津田塾大の調査

昨年の臨時休校中、特別支援学校でのオンライン教育の実施状況が学校によって大きく異なり、学校内の人員・設備・スキルなどに左右されていたことが、津田塾大学でインクルーシブ教育に携わる研究者らでつくる「Learning Crisis研究会」の実態調査で明らかになった。同研究会が1月23日にオンラインで行ったカンファレンスで報告した。

オンライン・カンファレンスで話す、津田塾大学「Learning Crisis研究会」の柴田邦臣代表

調査対象となった196校の特別支援学校のうち、昨年の臨時休校中にオンライン教育を実施した学校は57.9%、未実施の学校は42.1%と二分していた。実施校では「学校運営が大きく変化した」と回答した割合が未実施校に比べて高く、授業だけでなく会議や情報共有の場面でもオンラインを活用した状況がうかがわれた。

ただ「技術を持っている教員に偏りがある」「情報担当はほとんど専属で対応しなくてはならなかった」といった自由回答も寄せられた。「それだけ負担をかけて実施してきたことが示された。対応できる人がいるか、教委も含め周囲の理解があるか、県単位の支援があったかが、子供の学習環境にダイレクトに影響した」と、同研究会の松崎良美事務局長(同学助教)は話す。

また、オンライン教育を実施した学校では、未実施校と比べて体験的学習を中止したと回答した割合が高かった。松崎事務局長は「オンライン教育実施校では、学校行事や体験的学習の代替を、オンラインで工夫して実施している。未実施校は参加者人数を制限したり、移動範囲を縮小したりすることで実施していることがある」と分析する。

オンライン教育の実施を後押しした要素として、有志ができることから実行したことや、家庭に向けて、インターネット環境や遠隔授業への参加可能時間についてのアンケートを実施したことなどが挙げられた。

一方で、保護者の協力が不可欠な児童生徒が多い、オンラインでのつながりに非協力的な保護者がいる、個人の通信環境が十分でないといった事情で、オンライン教育を断念するケースも報告された。また“見る・聞く”がメインになるオンライン授業は、障害の重い子供に適さない、視覚障害がある子供には家族のサポートの負担が大きいなどの懸念もあった。

また教育上、苦労した科目として「音楽」(54%)、「体育/保健体育」(51%)など、実習を伴う授業を挙げる声が多かった。「視覚特別支援学校の場合、実技系教科は見てまねをすることができないので、教員が手厚く指導しながらの直接的な体験を重視している。教え方から評価の方法まで、ほぼ全てのことに困難を感じている」という声もあった。

ポストコロナ時代の特別支援教育について、同研究会の柴田邦臣代表(同学准教授)は「これまで当然とされていた教育というものが変更を迫られる特別な時代。学校にとっては1、2年我慢すれば終わるが、子供たちにとっては衝撃的な長さだ。臨時休校などが繰り返し訪れてもおかしくない状況の中で学び続ける必要がある」と指摘。

「もともと特別支援教育の子供たちには身体的な事情が多く、特別な努力をして学んでいる。(コロナ危機という)特別な時代の中で、この学びがどのように遂行されるべきか、という観点は必ず持つべきだ」と呼び掛けた。

実態調査では全国の特別支援学校196校を対象に、昨年8月から10月にかけて回答を依頼。長期休校期間中や休校明けの学校の様子、教科別の授業・学習の状況、その他学校や子供たちを巡る状況を聞いた。

次のニュースを読む >

関連

あなたへのお薦め

 
特集