全国学力・学習状況調査のCBT化 有識者にヒアリング

全国学力・学習状況調査のCBT(コンピューター使用型調査、Computer Based Testing)化について検討している、文科省のワーキンググループ(WG)は1月26日、オンラインで会合を開き、有識者へのヒアリングを行った。堀田龍也東北大学大学院教授は「学習指導の貴重な資料が迅速にフィードバックでき、授業のフォローアップにもつながる」などとして、CBT化への期待とともに悉皆(しっかい)調査で実現すべきとの意見を述べた。

ワーキンググループの会合は7回目。26日は全国学力調査のCBT化に向けた課題や論点を巡り堀田教授と、理化学研究所革新知能統合研究センター自然言語理解チームの乾健太郎チームリーダーからヒアリングを行った。

堀田教授は2013年から14年にかけて小中学校で実施した「情報活用能力調査」で、ICTによる学習活動を多く行っていた学校の児童生徒の得点が高かったことに触れ、今後はGIGAスクール構想などでICTにある程度慣れてくると指摘。CBT化について「学習指導の貴重な資料として、すぐにフィードバックができることは非常に重要であり、ログからつまずきを分析できる効果もある」と期待を語った。

その上で実現に向けて、「悉皆調査でやることを、諦めるべきではない」と強調。理由として「当該学年になると対象になるという効果は大きく、緊張感の中で受けることの価値に加え、授業でフォローアップができる」とその意義を語った。また、学校行事と調整しやすいように同日実施にはこだわらなくていいとし、必要な準備を各自治体に促すためにも、CBTへの段階的な移行スケジュールを公表すべきとの意見を述べた。

一方、記述式答案の採点を支援する言語処理技術を研究している乾チームリーダーは、記述答案採点でも1問当たり1000答案程度の訓練データがあれば、人間と同等程度の採点精度が得られるとの成果を具体的なデータも交えて発表した。

しかし、その一方で、「自動翻訳は流ちょうになったが、AIが完全に言葉の意味を分かって翻訳しているわけではなく、教師の代わりをできるわけではない」とも説明。「AIに何をやらせるか、人間との役割分担を設計してどう改善するか、教育現場や教育施策の関係者、研究者が連携して取り組むべきだと思う」と意見を述べた。

文科省は2021年度の調査は、新型コロナウイルスの影響を考慮し、当初の予定日(4月20日)より1カ月ほど後ろ倒しをして5月27日を実施予定日とし、後日実施の期間も例年の2週間から約1カ月(5月28日~6月30日)に延長することを決めている。

また、同じく21年度中に約1万人の児童生徒を対象に、学校の端末とネットワークを活用し、CBTでの調査を試行的に行い、課題を検証することにしている。

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