デジタル教科書、使用ガイドライン改訂へ 基準撤廃受け

学習者用デジタル教科書の使用を、各教科等の授業時数の2分の1に満たないこととする文科省告示の現行基準を撤廃する方針を受け、同省の検討会議は1月27日、学校現場でデジタル教科書を活用する際の現行のガイドライン(2018年12月策定)も改訂する方針を示した。

改定後のガイドライン案では、使用基準の撤廃にあたって「児童生徒の健康に関する留意事項について周知・徹底を図り、必要な対応方策を講じるとともに、ICTの活用に係る教員の指導力の向上のための施策等を講じていくことを前提として、デジタル教科書の活用の可能性を広げて児童生徒の学びの充実を図る」と説明。

また「これは学習者用デジタル教科書を、各教科等の授業時数の2分の1以上において、必ず使用しなければならないということを意味するものではなく、あくまでも必要に応じて、学習者用デジタル教科書をより有効に使用できる環境を整えるための措置である」と、学校現場の理解を促した。

ガイドライン案で新たに追記された主な箇所は、次の通り。

  • 授業において、児童生徒が長時間にわたって学習者用コンピューターの画面を注視しないよう、30分に1回、20秒程度、画面から目を離して目を休めるよう指導したり、学習者用コンピューターを見続ける一度の学習活動が長くならないようにしたりするなど、健康面にも配慮した授業展開とすること
  • 家庭における学習者用デジタル教科書の使用に当たっても、上記の目と学習者用コンピューターの画面との距離や、目を休めること等に留意するよう指導すること。また、睡眠前のICT機器の利用を控えることが適切であることなども指導すること
  • 健康に関する意識を醸成するため、「健康面に留意する」という視点を、まずは教員が理解し、授業等における指導によって児童生徒に伝えるとともに、保護者にも適切に説明をすることによって、児童生徒がデジタル教科書を含むICT機器を使用するに当たっての配慮を、学校と家庭が協働して行うこと
  • 児童生徒が自らの健康について自覚を持ち、例えば、目の疲労を感じたら目を休める、遠くを見る等の行為がとれるようになるように、リテラシーとして習得した上で学習に取り組めるよう指導すること
  • 学校現場における学習者用デジタル教科書の授業目的での公衆送信(インターネットを介した送信等)に当たり、改めて授業目的公衆送信補償金を支払う必要はない
  • 27日の検討会議では中間まとめ骨子案も示され、これまでの議論を踏まえたデジタル教科書の導入の意義や、本格導入に向けて必要となる取り組み、教科書制度の在り方についての検討などの内容が盛り込まれた。

デジタル教科書のメリットとしては「直接画面に書き込みができ、その内容の消去や、やり直しを簡単に行うことができるため、作業に取り掛かりやすく、繰り返し試行錯誤することが容易」「アクセシビリティーやユーザビリティーが確保されれば、紙の教科書へのアクセスが困難だった障害のある児童生徒が教科書へアクセスできるようになる」などとされた。

また教員にとっても「授業支援システムとの連携により、教師側の画面で児童生徒がデジタル教科書に書き込んだ内容を見ながらの授業の進行がしやすくなり、クラス全体に対して特定の児童生徒の書き込んだ内容を共有して指導を行うことなどができる」などの利点が挙げられた。

一方で本格導入に当たっては、必要な機能や教材などとの連携方法、教員の指導力の向上、障害のある児童生徒や外国人児童生徒への対応など、具体的な使用方法について全国規模で実証的な検証を行いつつ、検討する必要があるとした。

さらに教科書の範囲にデジタルの特性を生かして、動画や音声を取り入れることも考えられ、教科書検定の在り方の検討が必要となるものの、次回24(令和6)年度の小学校用教科書の改訂についてはすでに準備が進められていることから、次々回の改訂を念頭に検討することが適当だとした。

文科省は今回の使用基準の見直しについて、今月27日から3月1日にかけてパブリックコメントを募集する。詳細はe-Govのウェブサイトで確認できる。

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