自由な学校の条件と校則問題 苫野一徳准教授らが議論

自由な社会をつくるための学校教育の本質とは――。教育問題の発信を続ける教育社会学者の内田良名古屋大学准教授らによる「みんなの学校安心プロジェクト」は1月31日、学校の校則をテーマにしたオンラインイベントを開いた。「自由の相互承認」の観点から教育の役割を研究する、教育哲学者の苫野一徳熊本大学准教授が講演し、高校時代の同級生であり、教員の働き方改革で署名を展開した斉藤ひでみ氏(筆名)らと、自由な学校の条件を話し合った。

「自由の相互承認」の視点で、校則についての議論の在り方を話す苫野准教授(Zoomで取材)

校則の議論の在り方について苫野准教授は、信念の対立が起こりがちで、対話の仕方を共有することから始めないといけないと指摘。具体的には、自分自身の経験を過度に一般化することは慎まなければいけないこと、「校則は必要か不要か」といった二項対立的な問いを立てずに、信念をぶつけ合うのではなく、「自分はどうしたいのか」という欲望のレベルで話し合うことで、誰もが折り合える第三のアイデアを模索できると助言した。

その上で、民主主義社会の大原則である、他者の自由を侵害しない限り、個人は対等に自由な存在であるとする「自由の相互承認」を実現するためには、教育の役割が重要だと強調。

「教育は全ての子供に『自由の相互承認』の感度を育てる場でなければならない。それを基にこれからの教育を考えていけば、ぶれたり、対立を起こしたりすることなく、教員も生徒も、保護者や地域社会も、みんなで話し合うことができる」と話した。

また、ジャン=ジャック・ルソーの『エミール』の「たえず権威に全面的に従っているあなたの生徒は、何か言われなければ何もしない」という一節を引用しながら、「あれをしなさい、これはするなといったことばかりを大人が言い続けると、子供は自分で何も考えなくなり、ただ大人の言うことに従うだけになってしまう。自由に生きる力を育むには、ある程度は自由な中で、ときには失敗したり、再調整したりする経験ができる環境にする必要がある」と指摘。子供自身で、自分たちの学校をつくり合うことを保障する大切さを説いた。

岐阜県の公立高校の教員である斉藤氏は、苫野准教授と関西学院高等部の同級生で、当時、苫野准教授は生徒会会長、斉藤氏は生徒会副会長を務めた。斉藤氏は、同校が自由な校風で服装も緩く、生徒会の提案を教員が受け止める文化があったと振り返った。

また、教員になって初めて赴任した定時制高校でも、服装は実質的に自由であったが学びは成立していたと指摘。校則や服装の決まりを緩めれば、学校が荒れるという学校現場の懸念に疑問を投げ掛け、「制服の着用義務をなくせば、教員が服装指導をする必要もなくなり、下着や靴下の色が決まっているといった『ブラック校則』の問題も解決するのではないか」と提案した。

こうした問題意識を踏まえ、斉藤氏は新たに、1月30日から制服を標準服として、着用を強制しないようにする「制服選択化」を求めるインターネット署名「【令和の校則】 制服を着ない自由はありますか…? 制服は強制力のない『標準服』にして 行き過ぎた指導に苦しむ生徒を救いたい!」を開始している。

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