小4が町長に観光活性化を提案 社会人がオンラインで協力

東京の社会人が協力し、子供たちが町の活性化を町長に提案――。岩手県山田町立船越小学校(多田敢=つよし=校長、児童95人)でこのほど、小学4年生の児童が同町の魅力を生かした観光のアイデアを、佐藤信逸(しんいつ)町長に直接プレゼンテーションする授業が行われた。児童らはZoomを使って首都圏に住む社会人と定期的に交流しながら、この日に向けて企画を練り上げた。

アイデアを発表する児童ら(山田町提供)

同町は2019年6月に東京学芸大学と連携協定を結んでおり、その一環として、首都圏に住む社会人が山田町でワーケーションをしながら、学校教育に関わる実証実験を計画。当初は、船越小の職員室で社会人がリモートワークをしながら、授業に参加することが予定されていたが、新型コロナの影響で、全てZoomによるオンラインでの交流に切り替えた。

山田町の観光活性化をテーマに、子供たちは複数回のオンライン交流で社会人からアドバイスをもらったり、実際に観光スポットにも足を運んだりしながら、アイデアを具体化させていった。

プレゼンテーション本番では、社会人らがオンライン上で見守る中、施設、景色、食の3つのグループに分かれて、それぞれの企画を発表。施設グループでは、子供から大人まで楽しめて、山田町のことを深く知ってもらう仕組みとして、町内の観光施設などを巡るスタンプラリーを思いついた。コースは難易度ごとに複数設定し、施設ごとのオリジナルスタンプも作成した。

景色チームは、家族連れをターゲットに、四季折々の町の風景を写真に撮るとオリジナルポスターを作れるというアイデアを提案。ポスターを持って帰ってもらうことで、全国に山田町を知ってもらえると考えた。

食チームは、山田町の食材だけを使った季節ごとの「山田べんとう」の開発に挑戦。この日の発表では試作品も振る舞われ、佐藤町長らは名産の松茸ご飯などのぜいたくな品々に舌鼓を打っていた。

プレゼンテーションに熱心に耳を傾けていた佐藤町長は「施設チーム、景色チーム、食チームのいろいろなアイデアは非常に参考になる。ぜひ山田町の未来のために、この意見を取り入れていきたい」と児童らに答えた。

児童らは「社会人から出された『宿題』は大変だったけれど、このサポートがなかったら、これらのアイデアは生まれなかったかもしれない。私たちのためにいろいろ考えてくれてありがとうと伝えたい。発表は大成功だったし、山田町のことをもっと好きになった」と振り返った。

4年生の担任の熊谷大和教諭は「社会人が入ったことで、児童に相手意識が生まれ、自分の町でも知らないことがたくさんあると気付いた。教師は裏方に徹し、子供たちは社会人の協力を得ながら、問題の解決策を自ら考えていった」と成果を語った。

授業後に行われた、参加した社会人の振り返りからは「普段、当たり前に使っている言葉が子供たちには伝わらない。そういう経験が自分にとって刺激になった。イノベーションの源になる」「大人からすると、なぜ子供がその答えにたどり着いたのか分からないこともあったが、深掘りするとちゃんと根拠があることが分かった。社員それぞれが考えていることを引き出す重要性に気付かされた」など、大人にとっての学びにもつながったという感想が聞かれた。

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