高校生らが校則改正手続きの明文化などを文科省に提言したことについて、萩生田光一文科相は2月9日の閣議後会見で、「声を出して行動を起こしてみることは貴重な経験だ」と指摘した上で、「先生や保護者、学生にも共鳴されるような活動で、校則を変えていくことはあってもいいんじゃないかと思う」と述べ、高校生の働き掛けで校則改正を行うことに一定の理解を示した。一方、校則改正手続きの明文化を求める通知を文科省が出すことについては「提言も参考としつつ、文科省としてどんなことができるか検討してみたい」と、慎重な答えにとどめた。

校則改正手続きの明文化などを求める提言は、日本若者協議会(室橋祐貴代表理事)が、高校生や生徒会活動を経験した大学生で構成される「学校内民主主義を考える検討会議」の協議内容をまとめたもので、1月28日、文科省で鰐淵洋子大臣政務官に手渡された。若者が「自分たちの力で社会を変えられる」と思えるように、学校が子供の意見を尊重する、民主主義の実践の場となる必要性を指摘。文科省には校則の改正プロセスを明文化するよう、教育委員会や学校に通知するよう求めている。
この提言について、萩生田文科相は「文科省としては、児童生徒に社会参画の意識を涵養(かんよう)するためには、学校生活の充実と向上に主体的に関わっていくことは重要と考えている。提言も参考にしつつ、文科省としてどんなことができるか検討してみたい」と述べ、学校運営に生徒が主体的に関わることを重視する一方で、通知の発出には慎重な姿勢を示した。
同時に「学校は設置者に運営の責任がある」とした上で、「外から見ると、『それ、なんなんだろうな』と思うような校則がいまだに明文化されている学校もある。個人的には違和感を抱くが、例えば、誰もかぶらない帽子を制服に位置づけているのは、その帽子の帽章を作るときに、その学校の建学の精神があった、というようなことがある。それは学校ごとの価値観があると思うので、文科省が口を挟む(制度上の)立て付けになってないことはご理解いただきたい」と、学校設置者と文科省の関係を説明。
続いて「きっと学生から見たら理不尽なことがたくさんあると思う。それが社会から見ると、『いや、それは高校生なんだから我慢するべきだ』とか、『中学生なんだからやむを得ない』という判断もある。そういうことを超えて、みんな大人になっていくのだと思う」と述べ、校則の必要性に理解を示した。
こうした前提を踏まえ、萩生田文科相は「声を出して行動を起こしてみることは、学生にとっても貴重な経験。先生や保護者、学生にも『なるほど、その通りだ』と共鳴されるような活動をする中で、校則を変えていくことは民主的にあってもいいんじゃないかと思う」と述べ、校則改正手続きの明文化などを求める高校生らの提言に一定の理解を表明。
「(校則への対応が)政治離れにつながるんだと言い訳にするのは、私はちょっと残念だなと思う。そういうことを乗り越えて、政治に参加する若い人たちが出てくることを期待したい」と言葉を結んだ。
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