1人1台時代に必要な学校施設 文科省検討部会が初会合

1人1台端末環境のもとで、個別最適な学びと協働的な学びを実現するにあたって求められる、学校や教室の施設整備について議論するため、文科省の「学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議」のもとに新たに設けられた検討部会が2月15日、初回会合を開いた。委員は学校建築の専門家のほか、教育・ICTの専門家、自治体や学校現場の代表者など。今年7月をめどに中間報告を取りまとめ、最終報告は2022年3月を見込む。

「新しい時代の学校施設検討部会」初回会合であいさつする丹羽文科副大臣(写真中央)

初回会合の冒頭であいさつした丹羽秀樹文科副大臣は「公立学校は昭和40年代後半から50年代の児童生徒の急増期に建設され、老朽化した施設が8割を超えるなど、安全面、機能面ともに深刻な状況。膨大な数の既存設備について、安全安心の確保を図りながら、新しい学びを実現するための機能向上を図っていかなければならない」と述べた。

中教審が今年1月に取りまとめた答申では、「子供がICTも活用しながら自ら学習を調整して学んでいくことができるよう、『個に応じた指導』を充実することが必要」とされ、「協働的な学び」との往還を実現することが目指されている。また政府の教育再生実行会議でも、ICTの本格的導入など新しい学びの在り方が議論されている。

検討部会ではこうした学びを実現するための学校施設の在り方を改めて議論するとして、教室サイズや家具など1人1台端末や遠隔・オンライン教育に適合した普通教室、多様な学習活動のためのオープンスペースや多目的スペース、多様な児童生徒に対応する個別学習スペースなど学習空間の整備といった検討事項を挙げた。

また今年3月から5月にかけて、個別最適な学びと協働的な学び、主体的・対話的で深い学びを実現する環境を作っている先進的な小中学校を対象に現地調査を実施し、現場での好事例や課題の把握につなげることを目指す。

初回会合では、先進的なICT教育を行う茨城県つくば市立みどりの学園義務教育学校の毛利靖校長が自校の事例を紹介。円形のテーブルで課題解決に取り組むパソコン教室や、無線LANが整備された図書室、大型提示装置や大型の机などがある普通教室の様子を語った。

その上で1人1台環境を十分に生かすためには、超高速インターネット環境やデジタル教科書を提示する70インチ以上の大型提示装置、タブレットが置ける大型サイズの机、リモート対応のための個室、プログラミングやアクティブ・ラーニングのための円形テーブル、高速処理パソコンなどの設備が必要だと説明した。

学校施設の設計などを手掛ける委員の赤松佳珠子シーラカンスアンドアソシエイツ代表取締役・法政大学デザイン工学部教授は「タブレットを使えば(座席の位置にかかわらず)1人1人に情報が同じ大きさで映ることがメリット。一方、学校や教室に集まって空間を共有するなら、家で使うのとは違う体験が必要になる」と指摘。

また中馬英和・名古屋市教委総務部学校整備課長は「名古屋市では約400校と多くの学校があり、改修経費の確保が必要になる。都心部では学級数が増えている学校もあり、新しい施設や教室を確保できるのか、という課題認識をしている」と懸念を示した。

「新しい時代の学校施設検討部会」の委員・特別協力者は次の通り。

赤松佳珠子(シーラカンスアンドアソシエイツ代表取締役、法政大学デザイン工学部教授)▽天笠茂(千葉大学教育学部特任教授)▽伊藤俊介(東京電機大学システムデザイン工学部教授)▽奥田泰彦(岡山県備前市教育委員会教育長)▽倉斗綾子(千葉工業大学創造工学部デザイン科学科准教授)▽高橋純(東京学芸大学教育学部准教授)▽中馬英和(名古屋市教育委員会総務部学校整備課長)▽長澤悟(東洋大学名誉教授)▽野中陽一(横浜国立大学大学院教育学研究科教授)▽毛利靖(茨城県つくば市立みどりの学園義務教育学校校長)▽吉田信解(埼玉県本庄市市長)▽丹沢広行(国立教育政策研究所文教施設研究センター長)

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