コロナ禍で歌えない卒業式 音大生が子供たちに合唱届ける

非常時に音楽は何ができるのか――。感染防止対策で合唱ができない子供たちに向けて、東京音楽大学の教員や学生らの有志による「子どもたちへ卒業式の音楽を!実行委員会」は、卒業式に合唱で歌われる定番の曲を学生らが合唱し、配信するプロジェクトを立ち上げた。クラウドファンディングもこのほど開始し、子供たちからのリクエストも募集している。

プロジェクトのロゴマーク(子どもたちへ卒業式の音楽を!実行委員会提供)

新型コロナウイルスの感染防止対策で、卒業式はできても、恒例の卒業生による合唱は取りやめとしている学校も多い。そんな学校の子供たちと、コロナ禍で思うように演奏や合唱ができなかった学生たちをつなげたいと、同学の教員や学生らがプロジェクトを企画。春に卒業する4年生を中心に、約40人の学生が10曲の卒業式の歌を演奏・合唱する。

「非常時における音楽の意味」を改めて考えようと、東日本大震災の発生から10年を迎える3月11日午後2時から、大学のホールで合唱する様子をライブ配信。その後、できるだけ早く曲ごとにYouTubeでの公開を予定している。

当日は、福島第一原発事故による避難で離れ離れとなった友達と、故郷で再会することを誓った合唱曲『群青』の作曲者である、福島県相馬市立向陽中学校の小田美樹教諭もビデオメッセージを寄せる。

同学特任講師で実行委員会代表を務めるレコーディングディレクターの坂元勇仁(ゆうじ)さんは「卒業式の歌は大人になってもずっと心に残る大切なもの。それがコロナ禍で歌う機会が奪われてしまった。子供たちや先生の歌いたいという気持ちに、少しでも寄り添いたい。多くの学校、子供たちに届いてほしい」と呼び掛ける。

プロジェクトに参加した同学指揮科4年生の小林雄太さんは「教育実習を通してコロナ禍での『現場』を経験し、『歌う』ことができなくなった状況を目の当たりにした。ともすると音楽は娯楽として軽視され、不要不急なものとして認識される傾向にあるが、私は決してそんなことはないと考えている。出身地の新潟で中越地震が起こった際、私自身も音楽に救われた。大学卒業後も『今、自分は子供たちのために何ができるのか』を日々考えていきたい」と力を込めた。

配信・収録されるのは▽さくら(森山直太朗・御徒町凧作詞、森山直太朗作曲)▽旅立ちの日に(小嶋登作詞、坂本浩美作曲)▽群青(福島県南相馬市立小高中学校卒業生作詞、小田美樹作曲)▽花は咲く(岩井俊二作詞、菅野よう子作曲)▽大切なもの(山崎朋子作詞・作曲)▽仰げば尊し(文部省唱歌)▽主よ、人の望みの喜びよ(J.S.バッハ作曲)▽カノン(J.パッヘルベル)――の8曲に加え、全国の児童生徒からのリクエストも入る予定。

リクエストは実行委員会ホームページで募集している。

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