大学入試会議、共通テスト後初会合 深い検証求める声も

初の大学入学共通テストがこのほど終了したことを受け、文科省の「大学入試のあり方に関する検討会議」は2月17日、第21回会合で共通テストや各大学の個別試験の振り返りを行った。今回、コロナ禍での例外的な対応が数多くなされたことから、会議に出席した萩生田光一文科相は「今回の取り組みの良さはレガシーとして残す」との姿勢を示す一方、感染拡大に伴う急な入試方法の変更に苦言を呈する場面もあった。また委員からは、大学入試の本来の目的が果たされたか、より深い検証を求める声もあがった。

共通テストは「おおむね無事終了」

大学入試のあり方に関する検討会議に出席した萩生田文科相

今年が初となった共通テストでは、コロナ禍による学習の遅れを考慮して第2日程と特例追試験を設定。これまでの大学入試センター試験では、本試験の1週間後に全国2会場で追試を行ってきたが、今回は第2日程を第1日程の2週間後とし、試験会場も全都道府県に設定した。

萩生田文科相は「感染症対策も含め、おおむね無事終了することができたと思っている。コロナ禍で受験機会が失われてしまった生徒たちが、第2日程に回ることができた。(第2日程の試験会場が)各都道府県にあるので、近くで受験ができたことは大変意味があったのではないか」と評価した。

また出題内容について、大学入試センターの山本廣基理事長は「大学入試センター試験と比べて、さまざまな資料や実社会で用いるようなデータを読み解いたり、与えられた情報を基に考察したりするような問題を多く出題することとなったが、こうした問題を通して、日常的・社会的な事象と各教科で学習する理論を結び付けるような学習につながっていくことを期待したい」とした。

委員からは「今回の共通テストについては、しっかり見たが非常によくできている」(岡正朗・国立大学協会入試委員会委員長=山口大学学長=)、「共通テストはおおむね順当に、無事に終了することができたのでは」(萩原聡・全国高等学校長協会会長=東京都立西高等学校長=)という評価があった。

島田康行・筑波大学人文社会系教授は「円滑な実施というところに重きが置かれ、難易度に大きな変化もなく、意欲的に導入された新傾向の問題も、受験生を混乱させることはなかった。一方、出題の工夫・改善は今後も続けて、方針や意図の実現を目指していく必要がある」と指摘。大学入試センターは今年6月から7月をめどに、高校関係者などからの外部評価や問題作成委員会による自己評価の結果を公表するとした。

個別試験の取りやめに苦言

一方、新型コロナウイルスの急激な感染拡大に伴って急きょ個別試験を中止し、共通テストの成績や調査書のみで合否判定を行う大学があったことについて、萩生田文科相は「本来は受験が始まった後に選抜方法を変えることは望ましくない。コロナ禍で各大学が工夫したことには感謝したいが、大学は本当に考え抜いた結果、そうした判断をしたのか」と指摘した。

「個別試験をやめて、共通テストや調査書だけで合否を判断すると、共通テストで満足な結果を出せず、個別試験で逆転を目指して頑張っていた子はチャンスを奪われる。オンライン面接を加えて評価の対象にする、小論文を遅らせるなど、もうひと手間あってもよかった」と述べた。

吉田晋・日本私立中学高等学校連合会会長(富士見丘学園理事長・富士見丘中学高等学校校長)は「高大接続改革の目的に応じて指導してきた子供たちに申し訳ないことをしたような気持ち。各大学でのアドミッション・ポリシーに照らし合わせ、本当にこれでよかったのか、検討すべきでは」と語気を強めた。

また両角亜希子・東京大学大学院教育学研究科准教授も「個別大学での分析をかなり進めてもらう必要がある。共通テストや調査書のみでの判断が本当にどうだったかは一般論では語れず、各大学の学力のレベルによって状況は全く異なる」と訴えた。

今回の取り組みの良さは残す

今回、コロナ禍で特別な対応が取られたことを踏まえ、「今年(の例)が一つのモデルになるのか、特殊な事例なのか」と問われた大学入試センターの山本理事長は「今年は極めて特殊な事例だったと考えている。来年度はこれからのコロナの状況、文科省、大学・高校との協議の中で決まっていく」と見解を示した。

ただ、東京大学の両角准教授は「今年はコロナで特殊だったというが、本当にそれほど早く終息するのか、楽観的にはなれない。自然災害も含めいろいろなリスクを念頭に置いた検討が残念ながら不可欠になっている」と指摘。

会合の最後にあいさつした萩生田文科相も「来年度は日常に戻れるのかと言われれば、ワクチン接種も始まったばかりで、来年度の受験の時に落ち着いているかどうかは見えない」と応じた。

続けて「(今回のコロナ禍での対応は)今回限りと宣言するのではなく、今回の取り組みの良さはしっかりレガシーとして残していきたい」として、今回2週間後とした追試験(第2日程)の設定や、全都道府県での受験会場の設定などについて、来年度以降も検討する余地を残した。

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