高価な制服が家庭の負担に 着ない権利の保障求めシンポ

制服を着ない自由を認める制服選択制の議論を広げようと、現在インターネット上で署名活動を展開している岐阜県の高校教諭、斉藤ひでみさん(筆名)や、教育社会学者の内田良名古屋大学准教授らによるオンラインイベントが2月13日に開かれ、義務教育でも家庭が負担している「隠れ教育費」の実態に詳しい福嶋尚子千葉工業大学助教と、埼玉県の公立中学校の事務職員、栁澤靖明さんが講演した。福嶋助教らは、制服は各家庭が購入することを前提としているにもかかわらず、高価である点を問題視した。

制服の問題を巡る論点を提示する福嶋助教(Zoomで取材)

福嶋助教は、公立中学校の部活動費や修学旅行代、教材費など、保護者が負担することになる教育費の中で、バッグなどの指定品も含めれば10万円ほどになる制服は、最も大きなウエートを占めており、支払先が学校ではないことから、教員にとっては家庭の負担が見えにくくなると指摘。宗教的アイデンティティー、性自認などへの配慮から、制服を学校が一律で着用させる指導は困難だとの見解を示した。

その上で福嶋助教は「制服などの学校指定品が社会通念上、合理的か見直していくべきだ。本当に必要なのであれば、それらも無償にすべきであるし、無償であっても『着ない自由』は保障されるべきだ。家庭の経済格差も無視できない。制服は経済格差を隠すといわれるが、本当に経済格差を隠すのであれば制服をもっと安くすべきだ」と話した。

次に登壇した栁澤さんは、経済的に厳しい家庭を対象に学校教育に関する費用を支援する就学援助のうち、小中学校入学時に行われる「新入学児童生徒学用品費」に着目。子供の貧困問題への関心の高まりから、拡充されつつあるものの、文科省が定める基準に達していない自治体もあり、制服などの購入費用はそれを上回っている実態をつまびらかにした。

栁澤さんは、勤務している中学校で上履きと体育館履きを分けていたのを、機能性の高い体育館履きに統一した取り組みを紹介。保護者の費用負担が減っただけでなく、教員が履き替えに関する指導をしなくてもよくなったことなど、見直しによってさまざまなメリットがあることを強調し、「学校と保護者が対立するのではなく、キャッチボールをする体制を作ることが大切だ。保護者や生徒も入って、学校指定品の在り方を検討する組織を作るとよい」と提案した。

二人の発表を受けて、斉藤さんは「コロナ禍で学校での服装が緩和されている今こそ、制服の問題を見直す時期に来ている。われわれ教員は、制服が原因で不登校になっている中高生がかなりいることを受け止めて議論すべきだ。あらゆる子供が学校に通える環境をつくるのは大人の責任だ」と署名活動を始めた狙いを説明した。


関連