主権者教育の今後の在り方を検討している文科省の「主権者教育推進会議」は2月19日、第18回会合を開いた。小学校から大学、家庭・地域までの主権者教育の充実に向けた方策を提言した最終報告案が示された。

同案では、主権者教育で扱う社会的・政治的課題は正解が一つに定まるものではなく、異なる意見や対立する意見を整理して議論し、他者の意見と折り合いを付けるなどして、合意形成を図っていく過程が重要であると強調。選挙権年齢と成年年齢の18歳引き下げで、高校生の政治や社会参画が一層求められるとして、新学習指導要領で共通必履修科目として新設される「公共」や「総合的な探究の時間」での指導の充実をうたった。
さらに、国政選挙では、高校を卒業した19歳や20歳の投票率が低下していることを踏まえ、高校での主権者教育と接続する形で、大学の初年次教育などでも主権者教育を展開することを追記した。
その他に、児童会・生徒会活動、ボランティア活動は、主権者の意識を涵養する上で重要だとし、充実を図る方針も盛り込んだ。
主権者教育の課題でもある、現実の具体的な政治的事象を扱った際の政治的中立性の問題を巡っては▽政治的教養に関する教育の取り扱いを充実し、政治的中立性を確保しつつ、現実の具体的な政治的事象を積極的に扱うことを求めた2015年の文科省の通知の内容を改めて周知して、具体的な実践事例を横展開していくこと▽国による副教材や教師用指導資料の開発、学校・教育委員会とNPO・シンクタンクなどが連携した取り組みの推進▽家庭や地域の主権者教育への理解の重要性――を指摘。
政治教育のための教材の発行や、政治教育を行うNPOの支援を展開しているドイツの「連邦政治教育センター」の取り組みを挙げ、第三者的な立場のNPOやシンクタンクなどが、政党の選挙公約を比較可能な形で整理して学校に提供することや、これらの外部団体と連携したモデル校による教育プログラムの開発などを提言した。
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