コロナ禍で変わる学校建築 これからの課題を専門家が議論

コロナ禍における学校空間の在り方をテーマに、東京工業大学環境・社会理工学院教育施設環境研究センター主催の第19回学校建築シンポジウムが2月19日、オンラインで開かれ、建築の専門家がICT化や居場所づくりなどの観点から、これからの学校建築に求められる課題を議論した。

東京工業大学の大佛俊泰教授は、OECD学習環境研究グループ会議が発行するニューズレターを基に、世界各国のコロナ禍における感染防止対策や学校再開に向けた取り組みを紹介。

特に新型コロナウイルスの封じ込めに成功したニュージーランドでは、建築家、設計者、エンジニアが質の高い学習環境を作るために役立つ技術要件を提供する取り組み「Designing quality learning spaces」が以前からあり、学校施設にゆとりあるスペースがもともと確保されていたことなどから、教育施設のデザインや使用方法について再考の必要性はなかったという。

全国各地の学校で行われたオンライン授業や分散登校などの工夫事例を報告した東京電機大学の伊藤俊介教授は、現在の日本の学校は、子供が自宅でオンライン授業を受けることを想定していないことや、ICTの利活用の発想が既存の道具の代替にとどまっており、環境としてICTを捉えきれていないことなどを指摘。

その上で「学校が生活を囲い込みすぎるのはよくないが、同時に、子供たちが一緒に生活する意義もあることがコロナ禍ではっきりした。これらを両立させることがこれからの課題だ。学校の役割を再考しないといけないが、日本では何となく平常運転に戻ってしまった印象もある」と危機感を示し、元に戻すのではなく学校や授業をどう変えていくかという発想が大切だと、今後の議論を促した。

地域と学校の視点から発表した三輪律江横浜市立大学准教授は、子供の成長にとって、身近な地域の人との関わり方がとても重要な要素であることを強調。自身が提唱する地域と教育現場が関わり合う「まち保育」の取り組みについて紹介し、「コロナ禍だからこそ、まちで子供を育てる意識が必要だ。身近な生活圏を、いかにして子供の居場所にしていくか。今だからこそ『まち保育』ではないか」と呼び掛けた。

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