二度と犠牲出さない防災教育を 被災地結びフォーラム

東日本大震災から間もなく10年となるのを前に、被災地で進められている防災教育を振り返り、防災教育の未来について語り合う文科省主催のフォーラムが2月20日、オンラインで開かれた。二度と子供たちの犠牲を出さないために学校や地域はどう取り組むべきか、パネリストらがそれぞれの経験から意見を交わした。

震災による津波の状況を説明する東北大学の今村文彦教授

同フォーラムは「東日本大震災の教訓を未来へ」をテーマに開かれ、はじめに東北大学災害科学国際研究所所長の今村文彦教授が基調講演した。今村教授は震災の津波発生の経過を説明する中で、当初の津波警報では高さ10メートルまでは想定されていなかったことに触れ、「災害は突然起きるが第一報は不確定で、避難行動が遅れることがある。最初は不確定、不確実であることを想定し、アップデートされる情報に対応した避難行動が必要だ」と強調した。

また、74人もの児童が津波の犠牲となった石巻市立大川小学校の事故を巡る裁判で、学校の安全確保義務が厳しく指摘されたことを踏まえて、宮城県などに学校防災体制の構築について提言したことを説明し、「特に学校は地域の防災拠点として重要な役割を果たす場であり、日ごろから地域と連携し、地域ぐるみで防災マニュアルの見直しなどを進めてほしい」と呼び掛けた。

釜石市の防災教育を紹介する「いのちをつなぐ未来館」の川崎杏樹さん

続いて、岩手県釜石市の震災を伝承する施設「いのちをつなぐ未来館」の川崎杏樹さんが、現地から館内の展示を紹介。震災当時、中学生だった川崎さんは、当時の避難経路を説明しながら、市内では震災前から「想定を信じるな(ハザードマップを鵜呑みにしない)」「最善を尽くせ(全力で少しでも高いところに避難)」「率先避難者たれ(自分が率先して避難する心の準備)」と子供たちに教える防災教育が行われていたことを紹介し、「振り返ると、防災教育がなかったら避難が遅れたかもしれない。日常的に先生や地域の人たちから教わってきたことが役立った」と話した。

このあと宮城県名取市立みどり台中学校の平塚真一郎校長と、福島県教育庁義務教育課指導主事の青田伸一さんも加わって、「震災からの10年、そして未来へ」をテーマにパネルディスカッションが開かれた。大川小の事故で長女を亡くした平塚校長は今月13日の最大震度6強を観測した地震では、情報がない段階で多くの人が避難行動をとったことに一定の評価を示しつつも、「当時築き上げた教訓が薄れかけている現状もある。他人事をいかに自分事にしていけるか、また震災を知らない子供や被災地以外の人たちの防災に、どうつなげていくかが課題だ」と強調した。

防災教育の未来をテーマにしたパネルディスカッション

青田さんは、原発事故を教訓に、福島県では「自ら考え、判断し、行動できる力の育成」を重点に、公立小中学校での放射線教育や防災教育の実施率が100%を達成したことを紹介しつつ、「防災教育の形骸化は課題であり、先進的な取り組みの紹介などを通して発信を続けている」と工夫を重ねていることを報告した。

フォーラムの最後に今村教授は「各パネリストから重要なキーワードをいただき、改めて地域のつながりの重要性を感じた。同じ犠牲を出さないために非日常に備えて防災や安全を考えなければならないし、防災教育や備えによって被害が軽減できることを改めて知ってほしい」と述べた。

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