主権者教育の政治的中立「現実に照らすと難しい」 文科相

主権者教育で具体的な政治的事象を扱う際の政治的中立性について、萩生田光一文科相は2月24日の閣議後会見で、「学校現場で政党間の政策の違いを子供たちに判断してもらうことは、きっと有効なんだと思う」としながらも、「政治的中立と言うと、それぞれの政党の政治家が全ての自治体にいることは考えられない。だから現実に照らすと、すごく難しいところはある」と述べた。主権者教育で現実の政治的事象を取り扱うことの難しさについて、所管大臣が率直に心情を明かす形となった。

主権者教育の質問について答える萩生田文科相

主権者教育については、文科省が2015年の通知で、政治的教養に関する教育の取り扱いを充実し、政治的中立性を確保しつつ、現実の具体的な政治的事象を積極的に扱うことを求めた。しかし、同省の高校における主権者教育の実施状況調査によると、同省が通知で求めた「現実の政治的事象についての話し合い活動」について、19年度に高校3年生の授業で実際に取り組んだ高校は全体の34.4%にとどまっている。

現実の政治的事象を取り上げた主権者教育の実施が進まない現状について、萩生田文科相はまず、「実施上の課題が見られている」と述べ、改善の必要性を指摘した。

その上で、主権者教育の政治的中立性について、「総務省に届け出のある政党の政治家が、全ての地方自治体にいることは、まず考えられない。例えば、私の街には私しか国会議員はいない。その私が学校に行って話をすると、私が所属する政党の考え方を子供たちに披露することになってしまう。対立軸のある候補者がいればいいが、現実に照らすと、すごく難しいところはある」と、政治家としての経験を踏まえて現実的な難しさに言及した。

続いて「本当は、街の中で起きたテーマに関して、大人たちがどう考えているのか、政治家たちが意見を交わすところを子供たちが見るのは、主権者教育として、すごくいいことだと思う。けれども、中立、公平が果たして貫けるのか」と疑問を提起。「例えば、今は(全ての政党の政治家ではなく)3人の話だけしか聞けないかもしれないが、聞かないよりは聞いた方がいいような気もする。そこはちょっと難しいところ」と話した。

今後の取り組みについては「実践事例をいろいろ収集したい。高校3年生は18歳になれば有権者になってしまうのだから、できるだけ前倒しで学んでもらうことは大事だと思う」と述べるにとどまった。

今後の主権者教育の在り方を巡り、文科省の主権者教育推進会議は2月19日の会合で最終報告案を提示。現実の具体的な政治的事象を扱った際の政治的中立性については、▽政治的中立性を過度に意識するあまり、教師が指導に躊躇(ちゅうちょ)する現状を乗り越え、15年の文科省通知の内容を改めて周知して、具体的な実践事例を横展開していく▽国による副教材や教師用指導資料の開発、学校・教育委員会とNPO・シンクタンクなどが連携した取り組みの推進▽主権者教育に対する家庭や地域の理解の重要性――を指摘している。

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