高校生の内定率上昇の背景に進路変更 早期離職の報告も

全日本教職員組合(全教)と全国私立学校教職員組合連合(全国私教連)は2月25日、今年3月に卒業予定の高校生について行った、就職内定実態調査の結果を発表した。就職内定率(昨年11月末時点)は84.8%に上り、前年を2.7ポイント上回った。コロナ禍で求人数が減る中、進路変更で就職希望者が減ったことが要因とみられる。また、昨年就職した既卒者の早期離職の報告もあった。全教などは国に対し、就職未決定者の就職保障に向けた求人確保・雇用創出に取り組むことなどを要望する方針。

全教と全国私教連は全国の構成組織を通して、毎年10月末時点の高校生の就職状況を調査しているが、今年度は就職採用活動の解禁日が10月16日に1カ月後ろ倒しされたため、昨年11月末時点の状況を調べた。全国の32道府県の321校から回答があった。

調査結果によると、就職解禁日時点の求人件数は9万8465件(前年より11%減)、求人数21万285人(前年より18%減)で、コロナ禍の影響が大きいサービス業や宿泊業、観光業、飲食業などを中心に減少がみられた。

こうした中で全体の就職内定率は84.8%(前年より+2.7ポイント)と前年を上回ったが、全教などは、進学への進路変更などによる就職希望者の減少で上昇したと考えられるとして、「深刻な雇用状況から進学後も就職先があるかは不透明で、雇用の創出や求人確保などの対策が求められる」と指摘している。

各校からの回答の中には、「一次募集は20人不採用だった。倍率が2~3倍になった企業もあり厳しい。6人が進路変更した」(愛知県)、「求職者数が大幅に減少し、昨年度は110人だったが約30人に減少した」(滋賀県)との報告も寄せられた。

コロナ禍の就職活動については、生徒や学校のオンライン環境が不十分との報告があり、オンラインで行われる職場説明会や採用試験など就職機会に不公平が生じる課題が浮かび上がったとしている。就職日程が後ろ倒しになったことについては、「企業選択にゆっくり時間を割くことができた」(兵庫県)とプラス面を挙げる声がある一方、「就職と進路の時期が重なり昨年度より多忙だった」(愛知県)との声もあった。

また、コロナ禍で既卒者が厳しい状況に直面している報告も寄せられた。「今年度入社の3人が離職した。入社時期に仕事が減り、入社延期やオンライン研修のあと仕事に戻ってもスムーズになじめなかった」(愛知県)、「ホテルに就職した者が4月から自宅待機となった」(大阪)などの声があり、早期離職につながらないよう企業への支援が必要だとしている。

一方、生徒が企業を1社しか応募できない代わりにほぼ確実に内定を得られる「1人1社制」については、昨年2月に文科省と厚労省が設置したワーキンググループで見直すべきとする報告書がまとめられているが、今回の調査では「1つの企業を決めるのも難しいのに、2企業受験準備できる生徒がどれくらいいるか疑問で、メリットが感じられない」(大阪)など、存続を求める声が強かったとして、現行の就職慣行を守る立場で政策を行うことを求めている。

今回の調査結果を受けて、全教と全国私教連は、就職未決定者のための求人確保と雇用創出をはじめ、内定取り消しや「採用待機」が起きないよう関係機関と連携して万全の対策を取ること、相談体制の充実のために高校、大学、ハローワークの就職支援員などを大幅に増員すること――などを国に要望する。

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