通信制高校への期待と質の改善策 審議まとめ案を了承

通信制高校の課題について検討している文科省の調査研究協力者会議は2月25日、第7回会合をオンラインで開き、通信制高校の質保証に向けた対策と、オンライン授業の展開への期待などを整理した審議まとめ案について、大筋で了承した。通信制高校はICTを活用して個に応じた学びや支援を展開できると高く評価しつつ、不適切な学校運営や教育活動が行われている事例も一部に見受けられるとして、改善に向けた対策の強化を打ち出した。

審議まとめ案に関する意見を促す座長の荒瀬克己・関西国際大学学長補佐・基盤教育機構教授(YouTubeで取材)

審議まとめ案では、ICTを活用した通信教育の強みを生かし、個別最適な学びと協働的な学びを実現するだけでなく、多様な背景を持つ生徒に対して、きめ細かな相談に乗ったり、安心・安全な居場所を提供したりできる福祉的な側面など、多面的な役割が再認識されていると、これからの通信制高校の役割に期待感を示した。

その一方で、文科省の点検調査では▽野外活動と称して自然散策により「生物基礎」や「化学基礎」などの面接指導を受けたこととしている▽4泊5日の集中スクーリングで、1日に50分の面接指導を13コマ実施している▽100人を超える生徒に対し、教員が1人で面接指導を行っている▽サテライト施設で実験・実習や体育の面接指導を行うための施設・設備が不十分である――などの不適切な事例があったと指摘。

こうした問題への対応策として、添削指導・面接指導の年間計画や実施予定内容、試験日程、評価方法などをまとめた「通信教育実施計画」を策定し、生徒や保護者に事前に明示することに加え、国が面接指導の実施基準やサテライト施設の教育水準などを明確に示す必要性を明記した。

また、多様な背景を持った生徒が在籍していることから、教育相談体制を確保するために養護教諭やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどの配置促進、在籍していても1科目も履修していない「非活動生徒」に面接や電話を掛けるなどの積極的な対応も盛り込んだ。

文科省では、これに先駆けて、現在、高校教育に関する学校教育法施行規則などの一部改正についてパブリックコメントを募集しており、通信制高校に関しては、同時に面接指導を受ける生徒数を40人以下とすることなどが盛り込まれている。

この日の会合では、出席した委員から「新型コロナウイルスの影響で通信制高校の受け止め方がだいぶ変わった。通信制高校が高校教育全体に影響を与える可能性があることを示せないか」「質の向上、質の確保で大切なのは定期的な点検をちゃんとやって、指摘事項の改善を確実にやることが第一歩だ。そうした仕組みづくりをしっかりやってほしい」「通信制高校にとって一番必要な場所と人は、保健室と養護教諭だと感じている。スクーリングのある日は、5、60人の生徒が立ち寄ることもある。養護教諭のいる保健室は、安心・安全な場所に他ならない。その重要性が伝わるとよい。教育の質保証の中で最も重要な部分だと考えている」などの意見が上がった。これらの意見を踏まえ、座長による修文をした上で審議まとめとすることが了承された。

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