「保健室など学校機能の強化を」 自殺予防で有識者ら

子供の自殺予防について話し合う文科省の「児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議」がこのほど、オンラインで開かれた。子供たちの相談や支援に当たるNPO団体などのヒアリングで、家に居づらい子供の居場所として保健室など学校が一定の役割を果たしているとの報告があり、有識者から「自殺予防に、保健室など学校機能の強化も必要ではないか」との声が相次いだ。

オンラインで開かれた「児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議」

この会議は、児童生徒の自殺が後を絶たない中、自殺予防教育の在り方について検討するために設置され、この日は都教委とNPO法人「BONDプロジェクト」からヒアリングを行った。

このうち都教育相談センターの清水宏次長は、自殺に関する電話相談はすでに1月までで118件に達し、昨年度を上回っていると指摘。特に今年度は女子の自殺の増加が目立ち、高校3年女子は昨年度の1人から9人に急増していると強調した。こうした中で、都教委ではSNSによる相談体制の強化に力を入れ、学校を通して周知に努めていることが報告された。

10代から20代の女性の支援に取り組むBONDプロジェクトの橘ジュン代表は、SNSでつながる女性たちにコロナ禍の影響を聞いたアンケート調査の結果を紹介した。この中で、学生・生徒では「学校のことで困ったことがある」との回答が87%を占め、「外出自粛・休業要請期間中にほしかった支援」について、「気軽に相談できる場所」(67%)、「家以外の安全な場所」(46%)、「休校中も保健室やカウンセラーなど相談できる体制」(26%)という結果が出たことに触れ、家に居づらい子供たちから話を聞いてもらえる場所を確保してほしいという声が多かったと強調した。

これを受けて意見交換が行われ、関西外国語大の新井肇教授は「報告を聞いて、学校は学ぶ場であるとともに、保健室などが重要な役割を果たしていると感じた。リスクの高い子を支える居場所として、保健室を機能させることも必要かと感じた」と話した。

国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の松本俊彦・薬物依存研究部部長は「コロナ禍で父親がテレワークとなり、母親がカリカリして子供が安心できる居場所がなくなるというケースもあった。保健室が安心できるホームである面もあり、自殺を防ぐ意味でも学校の機能を強化する必要があると考えられる」と指摘した。

文科省がまとめた資料によると、昨年1年間の児童生徒の自殺は479人に上り、前年の339人を大きく上回って過去最多となった。特に8月には前年(29人)の2倍以上の64人に上るなど、コロナ禍の影響で短縮された夏休み明けなどに集中する傾向があった。

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