来年度予算案が衆院通過 35人学級関連費など年度内成立が確定

小学校全学年の35人学級への移行に必要な国費や、学習者用デジタル教科書の促進事業などを盛り込んだ2021年度予算案が3月2日、衆議院本会議で与党の賛成多数で可決され、参議院に送られた。衆議院の優越を定めた憲法の規定により、3月末までの成立が確定した。参議院での予算審議は3日からスタートする。

2021年度予算案を採決した衆院本会議での記名投票(衆議院インターネット審議中継より)

衆院予算委の審議では、児童生徒の自殺の増加、わいせつ教員対策、中学校の35人学級への移行などについて、論戦が交わされた。

児童生徒の自殺については、与野党から対策の強化を求める声が上がった。萩生田光一文科相は1月28日、GIGAスクール構想で配備される1人1台端末を活用し、相談体制の整備を検討する考えなどを示した。

わいせつ教員対策では、文科省がわいせつ行為で懲戒処分を受けた教員が再び教壇に立てないように今国会での教育職員免許法の改正を目指したが、刑法上の「刑の消滅」との整合性などから法案提出を見送った経緯を踏まえ、与野党から対策の厳格化を求める意見が相次いだ。萩生田文科相は3月1日、「法案提出を見送ったが、諦めたわけではない」と法整備に向けた検討を続ける考えを確認。与党の自民党と公明党は同日、わいせつ教員対策の法整備を検討する「与党わいせつ教員根絶立法検討ワーキングチーム(WT)」を設置し、今国会での議員立法の提出を視野に検討を始めた。

小学校全学年の35人学級への移行については、与野党から積極的に評価する意見が出された。学級編制標準の引き下げを定める義務標準法の附則に、少人数学級や外部人材の活用の効果検証が盛り込まれたことに関連し、菅義偉首相は2月15日、「中学校の35人学級を念頭に、(小学校での)35人学級を実施する中で、少人数学級の教育に与える影響や外部人材の活用の効果を検証した上で検討したい」と答弁。小学校での35人学級の教育効果を検証した上で、中学校での35人学級を検討していく考えを示した。

=文教関係予算案:初等中等教育関連の主なポイント
文教関係予算案:初等中等教育関連の主なポイント

21年度予算案の文部科学関係予算は5兆2979億9700万円で、このうち文教関係予算は前年度から87億円減って4兆216億円となっている。学校教育関連では、▽小学校全学年の「35人学級」を5年間かけて実現するための義務教育費国庫負担金に1兆5164億円▽スクール・サポート・スタッフ等の外部人材の拡充に183億円▽学習者用デジタル教科書を、小学5年生から中学3年生まで全国の約6割の学校で1教科ずつ導入し、学校現場がデジタル環境に慣れていくための促進事業に22億円–などが盛り込まれた=表参照

21年度予算案は20年度第3次補正予算案と一体で編成する「15カ月予算」との位置付けになっており、新型コロナウイルスの感染防止対策やGIGAスクール構想の実現に向けたICT環境整備の関連項目は、今年度中にも予算執行を開始できるように第3次補正予算案に前倒しで計上された部分が多い。第3次補正予算は1月28日に国会で成立している。

小学校全学年の学級編制標準を35人に引き下げる義務標準法の改正案は、まだ衆参両院の文部科学委員会で本格的な審議が始まっておらず、参院予算委での予算審議と並行して、今後、教育政策を巡る論戦が続くことになる。

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