学びを再び止めないために 中原淳教授らがシンポ

コロナ禍が続く中で、学びを再び止めないために、学校は今、何を考えるべきか――。教育新聞「オピニオン」の執筆者でもある中原淳立教大学教授の研究室は3月7日、昨年の臨時休校中に行った実態調査の結果をまとめた書籍『学校が「とまった」日』(東洋館出版社)の出版記念シンポジウムを開いた。学校リスクが専門の名古屋大学の内田良准教授、子供の貧困などが専門の立命館大学の柏木智子教授らゲストと中原教授が、調査から浮き彫りになったコロナ禍の教育課題について話し合った。

中原教授、内田准教授、柏木教授による鼎談(Zoomで取材)

休校期間中に、子供の学びや生活がどのような影響を受けたのかや、保護者の状況、教員やNPOなど支援団体の仕事の変容などを追ったこの調査では、教員と「コミュニケーションできている」と回答した高校生は全体の38%に過ぎなかったことや、学校からオンラインコンテンツの提供が1つ以上ある場合は、全くない場合と比べて、声掛けや体調管理、学習管理などで、保護者が子供に関わることが多くなっていることなどがデータで示された。

鼎談(ていだん)で内田准教授は「コロナで起きたことは一過性のものではなく、そこから考え、学んでいく必要がある」と述べ、コロナ禍で学校行事の縮小や服装のルールの緩和などが行われたものの、多くの学校では来年度以降、元に戻ろうとしていると警鐘を鳴らした。

柏木教授はコロナ禍によって、困難な状況にあった子供のリスクが高まった状況を踏まえ、危機への対応策として「できるところから、できることをやる」のと同時に、できない学校や子供には、できるようにするためのサポートを行うことが重要だと指摘。

「子供は、自分自身がしんどい状況にあると気付かないこともある。困りごとを認識し、助けを求められるようにすることが大切だ。危機に対して、学校が独自に判断し、自律性をどう確保するかも難しい。NPOでも、活動が立ち行かなくなったという例もあった。資源配分を形式的なものではなく、目の前の子供の窮状に目を向け、実質的な不正義を取り除くための機会保障にしていく必要がある」と強調した。

中原教授は「ワーストシナリオは現状ある格差の相当な拡大だ。あらゆる手だてを使って資源を投下していかなければならない。さらに、思い切って減らすという視点も必要だ。細かな判断は現場に任せ、できることからやる。格差が生じそうならば手当てをする。そうしていかないと、全体が地盤沈下してしまう」と、教育行政や学校現場などに向けて、この問題の議論を続け、意識を変えていく必要性を呼び掛けた。

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