「端末を死蔵させないで」 新年度を前にICT議連が危機感

GIGAスクール構想での1人1台端末の整備が進められる中、教育のICT活用を推進する国会議員が超党派で参加する「教育における情報通信(ICT)利活用促進を目指す議員連盟(ICT議連)」の2021年第1回総会が、3月5日に開かれた。今年度末に大半の自治体で端末整備が完了するものの、議員や有識者からは「端末はあるが何にも使っていないという状況」を懸念する声が挙がり、活用に向けた方策が議論された。

参議院議員会館で対面とオンラインを組み合わせて開催された第1回総会(Zoomで取材)

総会には国会議員や有識者のほか、GIGAスクール構想やEdTechを担当する文科、総務、経産省の担当官が参加した。冒頭、文科省の塩見みづ枝審議官(初等中等教育担当)が「多くの自治体で予定通り、今年度内に端末を納入できると見込んでいる」と、足元の整備状況を報告した。

また端末の利用に関して、保護者との間で事前に確認しておくべきポイントや、児童生徒の健康への配慮事項などを含むチェックリストの作成・提示などを、今年度内に進める方針を示した。

一方、経産省の浅野大介・サービス政策課長・教育産業室長は、全国の教委や学校、EdTech事業者からの声として「自治体独自の情報セキュリティー規則で制限が設けられている」「市の備品としての取り扱いを重視するあまり、自宅持ち帰りをさせない」「全ての学校に端末がそろうまで使用させない」「端末故障時の対応が明確になっていないとの理由で、学校が児童生徒に端末を自由に使わせない」などの課題が生じていると訴えた。

議員からは、クラウドサービスの利用に関する記述を追記するなどの改訂を19年12月に行った「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」が、教委や学校現場に十分伝わっておらず、整備された端末が活用されていないケースがあるとの懸念が出された。

塩見審議官は「端末は入るが、これから魂を入れるターム(期間)。学校の状況もさまざまであり、設置者も含めてきめ細かく支援しながら、うまく使いこなせるよう応援する努力が欠かせない」と応じた。

また「端末は使うために整備している。いろいろなことを恐れて後ろ向きになるのではなく、多少の試行錯誤もしながらみんなで考えていこうという姿勢で、死蔵されることのないようにしたい」と述べた。

浅野課長は、GIGAスクール構想を推進するために①教委や学校現場に向けた「明確な方針」の伝達②教員コミュニティーの形成・拡大③文科省のGIGAスクール構想推進プロジェクト「StuDX Style」と、経産省の「未来の教室」実証事業の連携――といったアクションが必要だと訴えた。

とりわけICT活用の好事例を共有するための、教員コミュニティーの形成・拡大については「例えばグーグルのサービスを使う教員らが集まり、日本各地にあるGoogle Educators Group(GEG)の支部を中心に勉強会を開くなど、さまざまな発信をしている。まずはそうした機会を最大限に活用し、文科省の教科調査官や各地の指導主事などとも連携したい」と話した。

また「学校では無名のスーパースターが生まれており、そうした人たちが発信できることが大切。教員がコミュニティーを作ってくれているところに、文科省とともに、どう情報を流していけるかを考えたい」とした。

塩見審議官も「文科省でも『StuDX Style』を通じて、これまで以上にきめ細かい形で情報共有ができるよう、地域ごとにグループを作ることなども念頭に置きながら好事例を横展開していきたい。経産省の『STEAMライブラリー』(探究学習を実践するためのデジタルコンテンツ集)とも連携したい」と前向きな姿勢を見せた。

参加した有識者からは「現場教師のブレーキになっているのは教委や校長。活躍する現場の交流については、教育長や校長の交流を奨励してほしい」「普通教室にいる障害のある子供が取り残されないようにしてほしい」といった意見もあった。

ICT議連の会長を務める遠藤利明衆院議員は「1年余りで一気に端末が支給された。一気に進むことはありがたいが、フォローの態勢ができていないのが実態。進めながら問題を解決していくことが大切だ」と議論を締めくくった。

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