日本は流行に踊っている? 教育改革の捉え方を徹底討論

今の日本の教育改革は、流行に踊らされているだけなのか――。教育方法学が専門の石井英真京都大学准教授と、経産省の「未来の教室」実証事業を担当している浅野大介サービス政策課長・教育産業室長らの対談「いま、教育の未来をめぐる『対話』を―不易vs流行の二項対立を超えて」(教育開発研究所主催)が3月6日、オンラインで開かれた。教育学研究と経済政策のそれぞれの視点から、現在進められている教育改革の捉え方を2時間半にわたり徹底討論した。

教育改革の捉え方を巡り、議論を戦わす登壇者ら(Zoomで取材)

この対談は、1月に出版された書籍『流行に踊る日本の教育』(東洋館出版社)について、賛否両論の反響があったことから企画。教育改革に携わる関係者からの質問に対し、書籍の編著者である石井准教授と、「未来の教室」の議論をけん引してきた浅野室長が答える形で進行した。

冒頭、ファシリテーター役の末冨芳(かおり)日本大学教授が浅野室長に、「『未来の教室』は流行に踊り軽薄だ」という批判についての考えを問うと、浅野室長は「未来の教室」の狙いを改めて説明した上で、いま進められている教育改革は大正自由教育以降、たびたび試みられてきた経験主義的な学びの実践の延長線上に位置付けられるものだとの認識を示し、「(「未来の教室」が)流行と言われる意味がよく分からない」と反論。

EdTechを活用した不登校支援などの取り組みを紹介し、「地方では、学校になじめないと学習環境はゼロになる。日本の教育行政はここを無視している。こういう欺瞞(ぎまん)と決別したい。誰一人取り残さないなんて美辞麗句は結構だ。それが不易なら、本当にやってみろと言いたい。それが私の突き付けている挑戦状だ」と述べた。

一方、石井准教授は、ここ30年間の教育政策はマジックワードが次々に投げ込まれ、教育現場を思考停止に追い込んだと指摘。「アクティブ・ラーニングも学校現場では手法主義に陥ってしまった。教員が言葉の意味を考えなくなり、学校は一過性の改革の残りかすばかりとなっている。『流行に踊らされている』とはそういう状態のことだ。働き方改革はそういった残りかすを取り除くことだと思う。マジックワードを掘り下げれば議論の厚みにつながる。現場は今、こうした言葉の咀嚼(そしゃく)をしないといけない」と警鐘を鳴らした。

また、コロナ禍によって、非常時に小回りが効かない学校の現状が露呈したとし、これからは不登校や外国人児童生徒など、社会で不利益を被っている人への支援の拡充が求められるとも指摘した。

対談の様子は4月中旬に、教育開発研究所から公開される予定。

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